その3. 朝、30分の運動でがんが嫌う酸素を増やす
がんは、酸素と熱を嫌う。酸素が多く、温かい状況では、がん細胞を取り締まる免疫細胞の中のリンパ球の活性が高まるためだ。
「朝起きたら、できれば6~8時の間に、最低30分から1時間歩きましょう。有酸素運動であるウォーキングは体温が上がり、体内の酸素が増える効果が期待できます」
また、朝の光を浴びることで、セロトニンという幸せホルモンが分泌される。
「セロトニンは約15時間後には睡眠ホルモンの『メラトニン』に変わります。朝の適切な運動は、夜、良質な睡眠を得るためにも役立つのです」
ウォーキングの途中、無酸素運動の100mダッシュを1~2回入れるとベスト。
「酸素がない状態で筋肉を使うと、筋肉に乳酸がたまる。乳酸は細胞の中に存在する、細胞小器官の1つ『ミトコンドリア』のエサになり、さらにリンパ球を元気にします」
走るのが苦手ならスクワットなどの筋トレでもよい。
「運動が嫌いな人はジムで指導をしてもらうのがいちばん間違いないですね」
その4. 笑う習慣でNK細胞を活性化
「笑いにはどんな治療より効果がある」と語る船戸先生。
笑いで免疫力がアップすることにはエビデンスも多い。
リンパ球の一種に、がん細胞やウイルス感染細胞などを見つけ次第攻撃する「NK(ナチュラルキラー)細胞」がある。笑いの作用によって、このNK細胞が活性化することが実証されている。
「家族や友人とコミュニケーションをとり、大声で笑うのももちろんいいですね。でも、面白いことや楽しくなくても口角を上げて『ニッ』と笑うだけでも効果はあります。がん患者さんはまじめな人が多いので笑いが足りていないのが現実。腹が立ったときでも、イライラしても、あえて笑ってみてください」
泣くという行為も効果的だ。大切なのは我慢せずに感情を外に吐き出す習慣だという。
「こらえるのはとにかくダメ。大いに笑って、大いに泣いて、感情をため込まない生活をすること。我慢することは心身のストレスにつながり、がんを大きくしてしまいます」
がん予防以外にも、笑うことは免疫細胞を活性化するため、アトピー性皮膚炎や花粉症にも有効。抑うつを改善し、血糖値を下げるといった研究も