『うんこドリル』に金融庁、日本郵船などさまざまな企業からコラボのラブコールが
『うんこドリル』に金融庁、日本郵船などさまざまな企業からコラボのラブコールが
【写真】ちょっと大人向け(中高生)になった『うんこドリル』、海外版ではこうなった

 実際問題として、うんこが持つパワーはすさまじい。版元である文響社は、東京大学との共同研究で『うんこドリル』における学力向上・学習意欲の変化を調査。その結果、一般のドリルと比較して、なんと成績の上昇率が約60%高くなり、学力学習意欲が向上することが実証されているというから驚きだろう。まさしく、うんこによって“クソ力”が発揮される格好だ。

 力を引き出すことに加え、うんこというマジックフレーズが、「なんだか面白そう」と学びのハードルを下げてくれる。そうした効果もあって、「近年では啓発ジャンルにも進出している状況です」と話すのは、文響社うんこ事業部、うんこアンバサダーの石川文枝さんだ。

経産省や金融庁とコラボするうんこ

「うんこの価値を、法人や省庁がご活用される事例が増えています。例えば、防災、防犯、金融といったジャンルは、難しく感じてしまいがちですが、うんこのフィルターをかけることで、お子さまたちが飛びついて学んでいるとご好評いただいています。また、省庁とうんこドリルがコラボするというギャップもあって、メディアでたくさん取り上げていただけるという効果もあります」

 “小腸”とうんこは切っても切り離せない関係だが、まさかそっちの“省庁”とコラボするとは。

「最初は消防庁とコラボが始まったのですが、反響の高さからほかの省庁の方からコラボができませんかという問い合わせが増え、私たちも驚きました(笑)」(石川さん)

 コラボ先の省庁は経済産業省、金融庁、国土交通省、海上保安庁など多数。これには、古屋さんも「そういう言葉を使うことに抵抗感がありそうなのに。まさかうんこが省庁に入り込むとは」と驚きを隠さない。

 それにしても─。うんこ事業部、うんこアンバサダーとは何なのか。

「弊社の中で、2019年に設立された部署で、現在6人が所属し、参考書以外の領域で、うんこドリルを広げていく取り組みをしています。社長から直々に『うんこの顔になってほしい』と言われ、うんこアンバサダーを仰せつかまつることになりました」(石川さん、以下同)

 一度聞いたら忘れられない肩書ですね、と伝えると、石川さんは「私としてはもったいない肩書。背負いきれるのかなというプレッシャーを感じつつ、精進しています」と謙遜する。文響社、恐るべしである。

 だが、冗談のような肩書だからこそ、こんな利点も。

「名刺を差し出すと、必ず“つかみ”になりますので、アイスブレイクしやすいです(笑)。省庁の方から、『もし転職するときには、履歴書に“うんこアンバサダー”と書くんですか』なんて聞かれたりします」