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女優・冨士眞奈美が語る、古今東西つれづれ話。青春時代を振り返る。
当連載の担当編集・Yさんと会ったとき、「主婦と生活社に、昔の冨士さんを撮影した写真が眠っていたので持ってきました」と、2枚の写真を手渡された。
きょうだいとの思い出
1枚目には、私の他にもう 1人女性が写っている。Yさんから「お隣にいるきれいな方は女優さんですか?」と尋ねられたけど、実はこの人は私の姉。当時、私と姉が並ぶと姉のほうが女優と思われるくらいだった。
2人して出かけると、痴漢に合うのは決まって姉のほう。京都駅を歩いていると、突然男性が紙片を手にやってきて「ここに行くにはどう行ったらいいんでしょうか?」と近づいたかと思いきや、そのままガバッと姉の胸を両手でわしづかみするなんてこともあった。ひどい話よねえ。
それにしても、どうしてこんな写真が主婦と生活社から出てきたのか。何の取材だったのかさっぱり思い出せない。
もう1枚の写真で私が着ているワンピースは、第1回NHK紅白歌合戦の白組司会を務めたことで知られる、NHKの名物アナウンサー・藤倉修一さんと対談をするために新しく作った一張羅だったはず。まだ、養成所に入ったくらいじゃないかしら。
当時の私は三島から上京してきた妹や弟と共同生活をしていて、きょうだいで一緒に行動する機会も多く、姉同様に妹と一緒にいると「妹さんのほうがきれいだね」なんて言われることも多かったから、がっくりきたものよ。
まぁ、私は男の子に交じって田んぼの中で野球をしていたような性格だったから、髪もバサバサでお化粧もザツ。きっとそのせいもあると思いたい(笑)。