しかし、視聴者からのコメントを励みに試行錯誤しながら続けると、始めて1年でフォロワーが10万人を突破。

「寝落ちに使ってます」というメッセージもうれしい

「うれしかったですね(笑)。でも10万人と聞いてもピンとこなくて。家内とふたりで『国立競技場は7万人収容できるそうだから、客席が埋まる人数だよ』と言ってイメージを確認し合ったりしました(笑)。

 10万人のときにYouTubeから銀の盾、100万人で金の盾をいただいたんですけど、まさかこんなに早く超えるとはと、自分でも驚いています。10万人のときに家内から冗談で、『100万人のときは死んでるね』って言われていたので(笑)」

YouTubeのチャンネル登録者100万人を超えた証の「金の盾」と柴崎さん
YouTubeのチャンネル登録者100万人を超えた証の「金の盾」と柴崎さん
【写真】コラボ動画で女優の杏に水彩画をレクチャーする柴崎さん

 柴崎さんのファンは、国籍問わず、10代から70、80代まで老若男女さまざま。コメント欄も、日本語や英語、子どもから高齢者までたくさんのメッセージであふれている。

「孫くらいの年齢の子からの『僕のおじいちゃんだったらいいのに』『美術の学校の先生になってほしい』という書き込みを見るとうれしくなります。

 お仕事をしている方からは、『疲れて帰ってきて柴崎さんのYouTubeを見て癒されてます』とか『申し訳ないけど寝落ちに使ってます』などいろいろいただいて(笑)。

 絵だけじゃなくて僕がしゃべることで気持ちが和むこともあるんだなと思って、やりがいにつながっています」

 海外では、CNN(1億世帯が視聴するアメリカのニュースメディア)に取り上げられて人気に火が付いた。アメリカの世界最大掲示板サイト『レディット』で話題となり、放送を見た人たちからメッセージが殺到したことも。

「そのときに“バズる”という言葉を知ったんですけど(笑)、僕の動画には英語の字幕もついているので、それを見たアメリカの方が『日本のボブ・ロス(アメリカの有名な画家)を見つけた!』と書き込んでくれて、世界中のみなさんに知っていただくようになりました」

 柴崎さんは40代のころ、世界40か国をバックパッカーで旅をしながら絵を描いていたことがある。その経験から「言葉は通じなくても絵で理解し合える」という確信があった。

絵は言葉もいらないし説明もいらない。こいつは何者かというのがひと目でわかる表現方法なんです。海外では道端に座ってひたすら絵を描いていました。そうすると、人々が集まってきて家に呼んでごはんをごちそうしてくれるんです(笑)。そういう意味で、僕の中には日本だからとか海外だからという垣根はありません」