目次
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ー 今では歩くと…
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ー テレビとの相性は悪いです
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ー コロナ禍で考えた新ネタ漫談 ー ライブは、きみまろさん自身が考える
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ー スマホを探して3000歩

あやのこうじ・きみまろ(71) 1950年、鹿児島県生まれ。'79年に漫談家デビュー。長い下積み時代を経て、'92年に発売されたCD『爆笑スーパーライブ第1集!~中高年に愛を込めて~』は186万枚の超ロングセラー大ヒットを記録。

「私の瞳を見て! あなたしか映ってないわ」、あれから40年─。「なんでジロジロ見るのよ、気持ち悪い!」

あれから40年”の名文句とともに、漫談家の綾小路きみまろさんがブレイクしたのは2002年。長年連れ添う夫婦の会話に、ユーモアと毒を軽妙洒脱に織り交ぜる漫談は、中高年のシワシワになったハートに潤いを与え、瞬く間にライブチケットは完売。押しも押されもせぬ人気漫談家となった。

今では歩くと…

 あれから20年─。当時52歳だったきみまろさんは古希を越え、「今では歩くと、ひざがコキコキ鳴るようになってしまいました」とさっそくのきみまろ節を披露する。

 きみまろさんの漫談に、次のような名調子がある。

 “若いときは男性の方はこう言います。「俺についてこい」。言えなくなります! 自分がついていかなきゃいけなくなるんです! 皆さん、笑ってらっしゃいますけど……時間の問題です!”

自分が高齢者になるとは思わないじゃないですか(笑)。ところが、気がついたら70歳になっていました。皆さんも、私の言っている意味がわかるときが来ます! パンツが壁にもたれかからないとはけなくなるんですから!」(きみまろさん、以下同)

 だが、その声色に悲愴感はない。むしろ、楽しんでいる様子さえうかがえる。

「自分のネタを身をもって体験しているような感覚ですね。若いときと違って身体が言うことをきかないことが多いんです。でも、それは私にとって初体験でもあります。せっかくだから、その初体験を楽しもうと」