【高血圧の薬】15%の人が減薬・断薬に成功!
高血圧の薬、降圧薬をのんでいる人は多い。厚労省の調査では、70歳以上の女性の2人に1人が降圧薬をのんでいる。
減薬も断薬も工夫しだい
2~3種類の降圧薬をのむ人もザラだが、いったんのみ始めたら一生のみ続けないといけないと思っている人がほとんどだろう。降圧薬をのんでいる人の数は2450万人という推計もあり、もし全員が一生のみ続けたら大変な薬剤費になる。
ところが、「私が診察した患者さんのうち15%程度は薬を減らすか、やめることができています」と、高血圧の専門医である高瀬先生は言う。どんな秘策をとっているのか。
「意外に思うかもしれませんが、薬を始める際の患者さんと医師の心構えが肝心なんです」(高瀬先生、以下同)
患者側の心構えとは?
「薬をのみつつ、生活習慣の改善を強く意識している患者さんが減薬や断薬に成功します。いちばんのカギは減塩です」
高血圧治療での減塩の目安は1日6g未満。食品に含まれる塩分量を把握しつつ、食事量を9割程度にとどめれば食塩摂取量も自然と1割減り、肥満予防にもなるのでおすすめだという。
では、医師側の心構えとはなんだろう。
「医師は高血圧の薬をのみ始める患者さんに最初に、『努力しだいで一度開始した降圧薬は減らしたりやめることが可能です』と、しっかり伝えるべきです。それをしない医師が多いので、一生のみ続けなければならないものだと誤解されてしまうのです」
減塩や運動などの生活改善で血圧が少し低くなってきたときが減薬のチャンス。
「『この血圧なら薬を少し減らすことはできますでしょうか』とかかりつけ医に聞いてみてください。生活習慣改善の努力や家で毎日測った血圧値を見れば医師も『そろそろ薬を減らせるかな』と考えてくれるはずです」
のまなくてもいい薬の場合も
家で血圧を測れば正常値なのに、病院の外来や健診などで白衣姿の医師や看護師に測ってもらうとふだんより血圧が上がってしまう人がいる。これは「白衣高血圧」と呼ばれていて決して珍しくない。
医療機関における血圧値だけで判断され、「ニセの血圧」のせいでのむ必要のない降圧薬を処方されているケースもあるという。その場合はどうしたらいいか。
「家で測った血圧は正常であることを医師に示す必要があります。家で毎日、血圧を測り、測定結果をかかりつけ医に見せれば、薬をやめたり、減らしたりすることができる場合があります」
薬をのんでいるならいずれにせよ、毎日の血圧測定が肝心だ。朝は起床から1時間以内で、排尿を済ませて朝食前、夜は就寝前に測り、結果を記録することを忘れずに。
教えてくれたのは
JA静岡厚生連遠州病院副院長・高血圧専門医。