子宮内膜症と手術を経て男の子出産
「実は20代後半からひどい生理痛が出るようになって、薬をのまないと痛みで動けない日もあるくらいだったんです。それを先生に言って診てもらったら、子宮内膜症だったことがわかって。しかも、チョコレート嚢胞(のうほう)で……」
子宮内膜症とは、子宮の内側を覆う「子宮内膜」に似た組織が、子宮以外の場所にできてしまう病気。月経痛のほか、腰痛、下腹痛、排便痛、性交痛、そして不妊の大きな原因となる。中でもチョコレート嚢胞は、子宮内膜が卵巣に発生することで起きるもので、排卵の妨げとなるため、妊娠を望むなら、治療が必要な病気だ。
南さんはさっそく子宮内膜症を小さくする薬をのみ始めたが、子どもを授かるには至らなかった。そこで、普通の婦人科から不妊治療専門のクリニックへの転院を決める。
「さらに詳しい検査を受けました。そしたら、左の卵管が詰まっていることがわかったんです」
南さんは詰まっていた卵管を通す手術を受け、やがて妊娠。昨年6月には流産という悲しい経験もするが、昨年のうちに再び妊娠し、今年7月にようやく新しい家族を迎えることができたというわけだ。
「これは女の人だけでなく夫婦の問題」
南さんは実感を込めてこう語っている。
「私の場合は、転院がいちばん大きなきっかけでした。いろいろな先生の話を聞く、情報を得るって大事だなって思いました」
そして、もうひとつ。そんな南さんの言葉に、毎回「うんうん」「そうだね」と優しく相づちを入れ、
「これは女の人だけじゃなく夫婦の問題だから」と繰り返し言い添える夫・濱口さんの存在も忘れてはならない。
子宮の病気は、女性特有のもの。
しかし、その苦しみや悩みを受け止め、共に立ち向かってくれるパートナーがいてくれれば、その不安は半減させられるかもしれない。
*治療法は症状などによって異なります。個々のケースは主治医にご相談ください。
〈取材・文/八坂佳子、大野瑞紀〉