非常識な人間として人のために働く
最初にホノルルマラソンに出場した年、帰国したサトシは、上司に呼ばれた。
「おまえ、許可するから。来月株式会社つくれ」
山が動いたのだ。そして、本社の社長に呼ばれた。社長はサトシにこう言った。
「君、クリエイティブな人間だよな」
「そ、そんなカッコいい言葉、意味がわかんないです」
「いや、そうじゃないんだ。君は非常識な人間なんだ。非常識なものを人に心地よく提供することが今の世の中はできていない。だから、君はそのまま非常識な状態で人の役に立つように働きなさい」
結局、NTTには13年間勤めた。独立してからも毎年の健康増進施策、健康経営などの講演やイベントなどNTTとの関わりは続いている。
「本当に社会人としての性格人格才覚、すべて学びました。NTTは、私にとって光り輝くもの。だから恩返ししていきたいと思っています。誠実に大義を持って邁進(まいしん)できるのも、昔転勤を許してくれた人たち、今の首脳陣の方々のおかげ。
“あいつNTTにいたんだよ。落ちこぼれだったんだけど、今、頑張っているんだよ”と言われるように生きていきたいんです」
NTT西日本の代表取締役副社長の坂本英一さん(59)は、GETTAMANが本社勤務のころ、同じフロアで働いていたという。
「当時は面識がなかったんですが、テレビで彼の活躍は知っていました。7年ほど前に社員の健康増進のために研修などで来てもらい、以来親しくなって。コロナもあり2年以上会っていませんが、ちょくちょくメールのやりとりはしています。
彼は“自分を育ててくれたのはNTTだ”と言ってくれて、とてもうれしく思いますね。破天荒なように見えて実はとてもジェントルマンで勉強熱心な人です」