これまででは考えられなかったドカ雪が日本海側に降った
これまででは考えられなかったドカ雪が日本海側に降った
【写真】日本海側のドカ雪で、車体に1メートル近く積もった雪

「実は温室効果ガスには、良い面もあるんです。地球全体の平均気温は15℃ですが、もし温室効果ガスがなければ、現実より33℃低いマイナス18℃になってしまいます」

 気象庁のデータによると、冬の温暖化の進行ペースはほかの季節に比べてゆるやかだ。これも、温暖化懐疑論の一端ともなっている。

 例えば日本でも、一昨年の12月後半は日本海側を中心に大雪となり、多くの被害が出た。まだ初冬ともいえる12月のドカ雪を見れば、温暖化を疑いたくなるのも無理はない。

この大雪も、温暖化と無関係とは言い切れません。気象庁気象研究所のシミュレーションは、近年の日本海の温暖化による蒸発の増加が雪雲をより発達させ、高頻度に豪雪をもたらす可能性を示唆しています」 

1.1℃の気温上昇がもたらすもの

 一見、温暖化と無縁とも思える大雪や寒波の原因が、温暖化そのものにあるかもしれないのだ。産業革命前から、地球の平均気温は1・1℃上昇した。しかし、最近の激しい猛暑に悩まされ続けている私たちの体感では、“たったの”1・1℃の上昇だとはとても思えないのだが─。

「これはあくまでも100年間の、世界全体の平均です。1980年以降で見ると、上昇率はもっと高くなります。さらに都市部ではヒートアイランド現象も相まって、郊外よりもさらに気温は上昇しています」

 世界平均1・1℃の気温上昇とはいえ、地球全体に及ぼす影響は計り知れない。今夏、ヨーロッパでは過去500年で最大の干ばつと熱波が起き、アフリカではひどい干ばつで人が住めなくなった地域もある。

「日本では、40~50年前に比べ夏の水蒸気量が10%増え、豪雨も増えたとのデータがあります。こうして雨量が増えれば、これまで問題のなかった山の斜面や川の堤防が、限界を超え、一気に悲惨な被害を引き起こす可能性もあるのです」

 今年も、地球規模で気候変動対策を協議する国連会議「COP27」が11月6日に開幕した。世界は産業革命前からの平均気温上昇を2℃未満、できれば1・5℃以内に抑えることを共通目標としている。この“たった”0・5℃の違いで、地球上の豪雨、豪雪、熱波、干ばつなどの発生頻度や被害レベルに相当な差が生じると予測されている。

 変化しつつある日本の四季から、わたしたちはどんなメッセージを読み取るべきなのか─。

取材・文/植木淳子