健康食品は暴飲暴食の免罪符にはならない
どの程度の健康食品を口にすると、薬との相互作用が懸念されるのか。久代先生は、薬と健康食品の種類にもよると前置きしつつ「1度でも併用すると何らかの症状が出ることがある」と警告する。
「血圧を下げるといった効果がきちんと認められた特定保健用食品は、注意が必要です。血圧を下げる作用が期待できるわけですから、降圧剤と併用すると薬とのWの効果で血圧が下がりすぎ、立ちくらみなどを起こしてしまう可能性があります」
また、自然食品を加工して作る青汁も成分が濃縮されているため、健康によいからと目安量を超えて摂取すると、相互作用の影響をより大きくしてしまう危険がある。
「野菜を食べるのが苦手で青汁や野菜ジュースを飲む人は多いですが、野菜を食べなくてもよいということにはなりません。複数の食品を手軽に摂取できることによる効果と副作用の両方を考えて、頼りすぎないように付き合うことをおすすめします」
便秘や下痢、皮膚に発疹が出る、だるさや食欲不振などの症状が続く場合は、飲み合わせが悪いと疑って、かかりつけ医に相談するのがよい。
ところが問題は、自覚症状が現れない場合だ。
「軽度の肝機能障害が起きた場合など、自分ではわからないことのほうが多い。症状が出るころには悪化しているということも。ですから、悪い相互作用が起きないように併用前に飲み合わせを注意しなければなりません」
さらに、高齢になるほど副作用の影響が強く出る危険性が高まるので、親世代に健康食品やサプリを贈る場合は、服用している薬をきちんと把握しておくのがよい。
「近年、相互作用が起きづらい薬も開発されていますが、新薬でも飲み合わせがすべてクリアになっているわけではなく、注意が必要なのは変わりません」