M-1審査基準の不透明さ

 こういった救済措置があるとは言え、準々決勝の審査に対して不満を持つ声は後をたたない。例年以上に物議を醸しているのではないか。

 問題視されているのは、審査基準が不透明なところ。

SNSでは「毎年よく分からない」「審査員の判断で当落が決められる節がある」

「ウケてる組を落とすんだったらそれなりの基準を示して」

「準々決勝の審査員って放送作家なのか、くだらない」

 と辛口な意見が並んでいる。2018年王者・霜降り明星の粗品もラジオ番組『霜降り明星のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)出演時、「審査員の誰かがイキッてるんやろうな」と意味深な発言をしたほどだ。

『M-1』は、「そのとき一番おもしろい芸人を決める大会」である。ただ準々決勝は傾向として、会場でのウケ具合以上に「審査側の好み」に寄るところも大きい。もちろん、誰が審査員をやっても各自の「好み」は、多かれ少なかれ判定に響いていくもの。それは決勝も然りである。ただ粗品の発言を掘り下げて考えると、一流芸人の目で見て「自分のセンス」を誇示しすぎるような審査が成されている可能性があるということだ。

 さらに近年は、コンプライアンスに触れそうなネタを披露する芸人は通過が難しくなっているようにも感じる。

 以前から「賞レースでは下ネタは厳しい」とされてきた。現在はそれだけではなく、倫理観に触れそうなもの、炎上につながりそうなものも早々にシャットアウトを食らってしまう。