業務に関係のない暗黙のルール
「身だしなみなど見た目のことは女性看護師からよく指摘されます。男性医師なら指摘されないのに。例えば『靴下は白』というルールとか、カーディガンなど羽織ものを着ちゃいけないとか。清潔感を出す意味で、冬でも半袖でした。
患者さんの前ならばわかるんですが、ナースステーションでは着てもいいのでは?と思ったりはします。他にも、夜勤にはお菓子を持っていく必要があったりとか……小さいことかもしれませんが、業務と直接関係のない暗黙のルールが多いですね」(イデさん)
細かなところまで心を配る女性社会ならではのルール。若手の男性看護師から意見を言うのはもってのほか。
「職場ではとにかく“男”を出さない。男要素を消したほうが働きやすいので、女性社会に溶け込むようにしています。『男なんだから』と男性に対する固定観念をぶつけてくるのは師長世代が多い。昔に比べたら男性看護師は増えているので、若い世代の女性看護師は、そういうことはあまりないですが、上の世代にはいまだにあります」(イデさん)
先輩女性看護師が「筋肉すごいよ」と、男性看護師の身体を触り、他の後輩を呼んで触らせようとするセクハラめいた話や、「女子力が高い」とやたら言われることで、逆に「男のくせに」と言われているように感じて傷ついたという話も聞くという。さらに女性患者から看護を断られることも“あるある”。
「例えば尿の管を入れる、抜くの処置では、若い女性患者だと、ほぼ断られるので、はじめから女性看護師にお願いすることがあります。割り切っていますが、新人のころは、傷つくというよりも、先輩にお願いすることがストレスでした」(シンジョーさん)
周りに負担をかけてしまうことがつらいと語る。他にも男性の体力面を期待されて任される仕事があり、
「やはり力仕事はよく任せられますね。体格のいい患者さんの看護はほぼほぼ回ってきます。それから『術後せん妄』といって手術後に錯乱状態になる患者さんの対応は任されがちです」(イデさん)
体力的につらいことを任されてしまうのは仕方がない部分はあるのかもしれないが、疑問に思うことも。
「やっぱり男性が少ない分、お局的な看護師に目をつけられてしまうと、生きづらいですね。男性というだけでレアキャラで、目立ってしまうので気をつけないと。表面上は仲良くやっているけど、裏では悪口を言う人も多いのですが、そういったことに慣れないと続きません」(イデさん)