デビュー時から続く誹謗中傷の声
「デビューしたころから『ブス』など、容姿を批判する声はありましたが、私はビジュアル以外で勝負しよう、と割り切っていました。でも、SNS上で『死ね』というコメントが日常的に届くようになってからは、すべてが一変。相手の顔がまったく見えない匿名アカウントからの誹謗中傷が来るたびに、命の危険を感じました。
そうした誹謗中傷は、今も続いています。街中でも、以前は『おぎゆかちゃんだ! 応援してるよ』と言ってくれる方々がいましたが、騒動以降は『げ、おぎゆかじゃん』という声が実際に聞こえるようになって……。
いろいろなことが一気に起こりすぎて“人生をやめたい”と思ったことも一度や二度ではありません。今でも、身の潔白を証明する難しさと向き合っていますね」
活動を控えていた時期は憔悴し、食事も喉を通らない日々が続いた。当時を振り返ると、彼女の家族は「今、由佳が生きていて元気に活動しているのは奇跡だ」と話しているという。
私が話すことで救われる人がいれば
過酷な状況の中でも自分を貫き、グループでの活動を続けた荻野。その原動力はどこにあるのだろうか。
「まずひとつは、事件に関与していないという事実です。もちろん、そんな私を信じてくださるファンの方や支えてくれる両親、騒動後も一緒にいてくれる友達の存在も、間違いなく原動力になっています。そして何より、自分が目指す“アイドル”になるために費やした努力や時間に誇りを持っているので、折れずにいられたのかもしれません。
現在私は、インターネットと適度な距離を取りながら生活しています。でも今は、SNSが身近な時代なので、アイドルだけでなくさまざまな境遇の人がネットとの付き合い方に悩んでいると聞きます。私がお話しすることで“誹謗中傷を受ける側の声”が、ひとりでも多くの人に届くといいな、と思っています」
そして彼女は“これから”についても笑顔で話してくれた。
「何も考えてないように思われるかもしれませんが、0からスタートする気持ちで、何でも挑戦したいです! 例えば、お洋服をプロデュースしたり、料理が苦手なので、克服していく様子をSNSで発信してみたり(笑)。
なかでもいちばん真剣に取り組みたいのが、英語の勉強ですね。今、イギリスに留学している兄が『英語を話せるようになってから世界が広がった』といつも話していて、興味が湧きました。将来は、海外のファッション事情についてリポートするような仕事もできればと思います。大変だとは思いますが、英語を習得して視野を広げるのが、今の私の目標になっています」
23歳の今。過去と向き合い、新たな一歩を踏み出している。
<取材・文/とみたまゆり>