古い湯たんぽでの低温やけどに注意
冬によく使う家電も、使用方法を誤れば命の危険を伴う。
閉め切った部屋で石油ストーブを使うと、酸素の濃度が低下して不完全燃焼が起き、有毒な一酸化炭素が発生する。気がつかないうちに吸い込んで、一酸化炭素中毒になり、頭痛やめまい、吐き気などが生じることがある。
「一酸化炭素中毒を防ぐには、定期的に換気を行うことが大事。1時間ごとにタイマーを設定して換気をするなど、ルールを作りましょう」
冬はこたつでうたた寝をしがちだが、これが身体によくない。布団なら、暑いと1枚少なくして体温調節が可能だが、こたつは調節できずに脱水症状になりやすく、腎臓にも負担がかかる。
「もし、こたつで寝てしまった場合は、スイッチを切り、脱水を防ぎます」
就寝中に使用する湯たんぽは低温やけどの原因に。湯たんぽ表面の断熱材が経年劣化により破損していたり、袋に入れ忘れたまま使用して、肌に直接触れてしまうと、低温やけどを負うケースがある。使うときに、よく確認しよう。
冬に起きやすいアレルギーの原因
冬には花粉症以外にも、アレルギーを引き起こす原因が家の中にある。そのうちの1つがダニが主な原因となって発症するハウスダストアレルギーだ。くしゃみや目のかゆみ、皮膚の炎症、ぜんそくなどの症状を引き起こす。
「原因は、生きているダニではなく、ダニのフンや死骸が粉々になったもの。夏場に増えたダニの死骸などがハウスダストとなり、秋から冬にかけていちばん多くなり、症状を引き起こします」
除去するには掃除機で丁寧に吸い取ろう。押すよりも手前に引くほうが、ダニの死骸を吸い取りやすい。カーテンにも定期的に掃除機をかけて。
「布団はまず、天日干しをしてダニを死滅させましょう。その後、昔ながらのふとん叩きなどをして死骸を除去するのが効果的です」
なお、羽毛布団やダウンジャケットに使用された、小さな羽毛や羽毛に付着した鳥のフンでアレルギーを引き起こしている人もいるという。
「こういったアレルギー性肺炎の症状は咳や息苦しさなので、風邪と間違いやすいのです。羽毛布団の使用を中止したり、家の中を徹底的に掃除して、抗原を除去して」
また、ダニを“食べて”アレルギーを発症するトラブルも少なくない。
「自宅でダニが混入したパンケーキミックスやお好み焼きの粉などの小麦粉製品を使った料理を食べ、蕁麻疹、呼吸困難などのアナフィラキシーを起こしてしまうのです」
海外では死亡例もある。秋津先生は小麦粉アレルギーと誤解されることも多いと語る。
「開封したら必ず冷蔵庫で保存を。そのうえで早めに使い切りましょう」
冬、ダニ以外に気をつけたい虫は、衣類害虫だ。中でも蛾の仲間の「イガ」「コイガ」はウールやカシミヤを好む。
「蛾の鱗粉や幼虫のフンなどからアレルギーを起こしたり、ぜんそくや皮膚炎になって来院される患者さんが、冬は意外と多いので、着る前に穴がないか確認しましょう」
衣替えのとき、一度でも着た服は洗ってから保管する。
「シーズン初めは袖を通す前に半日、日に当てて干せば、アレルギーのリスクを軽減できます。クローゼット内をよく掃除して、鱗粉やフンを除去することも予防になります」