結婚を切り出したら逆ギレ
さゆりさん(35歳、仮名)が面談にやってきました。
「3年付き合っている彼がいます。付き合っていた当初は、“結婚”という言葉か、会話の中に出てきたんですけど、コロナになってから彼の仕事が業績不振になって、そこから結婚の“け”字もなくなりました。まだお付き合いは続いていますが、私も35歳になったので、ここで婚活をしたいと思っています」
お付き合いしているはじめさん(仮名、37歳)は、自営業者で、コロナが蔓延した2020年は、仕事が大打撃を受けて売り上げが激減。補助金や助成金をもらっても追いつかず、昨年は借りていた事務所を閉めて、自宅にオフィスを移したそうです。
「先月、私の35歳の誕生日があったのですが、その日が誕生日だと忘れていたのかプレゼントもなくて、悲しかった。それで、次のデートのときに、『この間、なんの日だったかわかっている? 私の誕生日だったんだよ』って言ったら、すごく面倒くさそうな顔をされて。私もカチンときて、『もう35歳になったし、そろそろ結婚もしたいよ』と言ったんです」
すると、はじめさんが大声で、「俺が今、どういう状況かわかっているだろう。結婚するなら夫婦は運命共同体だ。相手の苦しい状況もわからない女とは結婚できない。思いやりがないヤツだな」と怒鳴ったというのです。
「逆ギレですよ。で、その言葉を聞いて、私も冷静になりました。彼は、怒ると大声を出したり、キレたり、ときには暴言を吐いたりする。考えたら、私、そんな彼を怒らせないように、いつも顔色を見ていました。もし結婚できたとしても、長い人生を見たら幸せになれない気がしたんです」
そこで、婚活を決意したというのです。
「付き合っている彼がいても、登録はできますよね」
そこで、私はさゆりさんに言いました。
「もちろんできますよ。既婚者は登録できませんが、さゆりさんは、彼がいても独身ですからね」
こうして入会しお見合いをするようになって、5人目にお会いしたよしゆきさん(37歳、仮名)と、真剣交際に入ることになりました。そのとき、私が心配したのは、恋人であるはじめさんの存在でした。
「結婚相談所のお付き合いの場合、仮交際期間中は、複数と交際をしていてもいいし、新しいお見合いをしてもいいけれど、真剣交際に入るときは、お一人と向き合うことになっているのは、お伝えしていますよね。さゆりさんは、はじめさんという恋人がいながら婚活を始めたけれど、その後、はじめさんとは、お会いしていますか?」
すると、さゆりさんは言いました。
「実は、婚活を始めてまもなく、私から別れ話をして別れました。週末はお見合いが入っていたし、仮交際になった人たちとのデートもあったりで、彼に会う時間が作り出せなくなったら未練もなくなった。“恋の上書き”とは、よく言ったもので、本当に一歩踏み出す勇気を出して、婚活を始めてよかったです」
こうして、よしゆきさんと真剣交際に入り、お見合いから3か月目にはプロポーズをされて、成婚退会していきました。
「結婚する気持ちのない相手と3年付き合っても結婚できなかった。でも、結婚する気持ちのある相手と付き合ったら、3か月で結婚できるんですね。結婚って、決断と責任だと思います。私との結婚を選んでくれたよしゆきさんを、これから一生大事にしていきます」