不倫相手を切らずに婚活したものの
よしえさん(39歳、仮名)は、37歳のときに結婚相談所で出会った同い年の男性つとむさん(仮名)と結婚をしました。ところが、結婚生活がスタートしてみると、些細なことでキレて暴言を吐く、お金にはとにかく細かい。そんなつとむさんとの生活が、半年もしないうちに、嫌になってしまいました。
そんなとき、街で大学時代の同級生で、かつて恋人として付き合っていたかずおさん(仮名)に、バッタリと再会したのです。懐かしくなり、カフェにお茶をしに行きました。
かずおさんは30歳のときに結婚をし、現在は、7歳になる女の子がいるとのことでした。よしえさんは、「半年前に結婚したものの、価値観も性格も合わなくて、結婚生活がうまくいっていない」と、愚痴をこぼしました。
その日は、お互いのLINEを交換して別れたのですが、そこから頻繁に連絡を取り合うようになりました。そこから1週間後、夜食事に行き、その後ホテルにも行って、ダブル不倫の関係が始まってしまいました。
そして、よしえさんは半年後に、つとむさんと離婚。よしえさんの結婚生活は1年弱で終わりを遂げたのですが、かずおさんとの不倫関係はずっと続いたままでした。
離婚から半年後に、よしえさんは、私の相談所を訪ねてきました。そして、これまでの経緯を語った後に、言いました。
「私は、子どももいなかったし、結婚生活は1年足らずだったから、離婚もすんなりできた。けど、今不倫しているカレには、小さなお嬢さんがいる。おそらく離婚しないと思うし、その家庭を壊してまで、私と結婚してほしいとは思っていないんです。だから、私も、再婚に向けて、婚活を始めようと思いました」
こうして、お見合いを始めたのです。よしえさんは、バツイチとはいえ、お子さんもいないし、痩せ型の美人だったので、思いのほかお見合いが組めました。その中で、お付き合いに入る人も出てきましたが、なかなか真剣交際まで進む人に出会えませんでした。
お見合いをしながらも、かずおさんとの不倫は続けたまま。婚活がうまくいかないと、気持ちはかずおさんに戻っていくのでした。
あるとき、私は、よしえさんに言いました。
「結婚はお一人としかできません。その一人を探しているのに、いつもサブに控えている男性がいて、新しい出会いとサブの男性との間を行ったりきたりしていたら、目が曇ってしまって、なかなか結婚できるお相手が見つからないのではないですか?」
しかも、そのサブに控えている男性は、既婚者で、日本の法律では結婚できない相手なのです。
ただ私のこの言葉は、響かなかったようです。10か月ほど活動をして、相談所は退会していきました。
39歳という年齢は、今結婚したら出産もできるかもしれない。ところが、結婚できない男性との時間に身を委ねていたら、知らず知らずのうちに年を重ねて、後で後悔をすることになります。
結婚から一番遠くの場所にいるのは、付き合っている相手がいない独身女性ではないのです。彼女たちには、何のしがらみもありませんから、婚活して結婚できる相手が見つかったら、明日にでも結婚できます。
結婚を言い出さない恋人や妻帯者とお付き合いしていて、その縁が断ち切れないでいる。そんな女性たちが、実は結婚から一番遠い場所にいるのです。
鎌田れい(かまた・れい)◎婚活ライター・仲人 雑誌や書籍などでライターとして活躍していた経験から、婚活事業に興味を持つ。生涯未婚率の低下と少子化の防止をテーマに、婚活ナビ・恋愛指南・結婚相談など幅広く活躍中。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。新刊『100日で結婚』(星海社)好評発売中。公式サイト『最短結婚ナビ』 YouTube『仲人はミタチャンネル』