最終回はぜひSNSで「ドラマ実況」を
わずか数分の乗り換えを駆使して作られたトリックを、時刻表を読み込んで見破り、アリバイを崩す。そんな『トラベルミステリー』の手法は、スマートフォンが普及した現代には、通用しなくなってきた。
「乗り換えなんて、いまやスマホで調べれば一発でわかってしまいます。おまけに地方では鉄道の廃線が相次いでいる。最終回を迎える理由は、視聴率や2時間ドラマ自体の衰退もさることながら、原作のトリックが現代では使えなくなってきたことも大きいのではないかと思います」
と、大野教授。一方、前出の木村さんは、「『トラベルミステリー』だけに限らず、放送時間の長いドラマの存続が困難になっています」と指摘する。
「“ファスト視聴”という言葉があるように、放送時間の長いドラマが視聴者から敬遠されるようになってきました。『トラベルミステリー』だけでなく、2時間枠で放送されるスペシャルドラマも視聴率がふるわない。そのため最近では2時間枠のドラマ自体、数が減っています」(木村さん)
それでも『トラベルミステリー』には、「時代の変化」で済ませてはもったいない魅力が詰まっている。
「今では廃止になった列車や路線、公衆電話、昭和の地方の街並み等々、『トラベルミステリー』には資料的価値の高い映像が数多く記録されています。そこに注目して、これまでの作品を見返してみるとおもしろいのでは?」(大野さん)
「SNSには『ドラマ実況』と言う文化がありますよね。リアルタイムで視聴してツッコミを入れたり、感想を言い合ったり……。実は『トラベルミステリー』は、そういうSNS的な楽しみ方が向いているドラマだと思います。
テレビ局側も視聴者の声は意識しているので、最終回がSNSで話題になったら、数年後にBSや動画配信サービスでスペシャルドラマとして復活――、なんて展開になるかもしれませんよ」(木村さん)
最終作となる『西村京太郎トラベルミステリー・ファイナル 十津川警部のレクイエム』は12月29日(木)夜9時スタート。十津川&亀井コンビの最後の活躍をお見逃しなく!