抗がん剤に劣らぬ成果を出す

 検査の結果は、小さながんは複数残っていたがそのほかは大方消失していた。

「うれしかったですね。でもまだ3か月。引き続き継続していこうと気を引き締めたのを覚えています」

 そしてまた4か月後CT検査を行うが、残念なことに一部のがんがやや大きくなっていた。

「次なる一手として取り入れたのはクエン酸でした。食品添加物のクエン酸を1日10gほど、500mlの水に溶かして飲むんですが、飛び上がるほど酸っぱい。でも抗がん効果に加えて、免疫力を上げる効果が期待できるため行動あるのみです」

 3か月後の再検査では、がんは指でつまめばつぶせそうなほど縮小。“がん共存療法”がまた一歩前進した瞬間だった。

 けれどもその後の検査では、がんは縮小もしなければ増大もしない状態が続く。とはいえその間、仕事もできて通常の生活が送れていたので“がん共存療法”は抗がん剤に劣らない効果があるといっていいのではないかと、山崎先生は話す。

 さらに山崎先生は新たな武器を加えるため、丸山ワクチンや抗がん効果が期待できるという評価もある糖尿病治療薬のメトホルミン、少量だけを投与する少量抗がん剤療法にも挑戦する。このあたりの詳細については先生の著書(※)を読んでほしい。『ステージ4の緩和ケア医が実践する がんを悪化させない試み』

 ここで注意してほしいのが、がんなら何でも先生の“がん共存療法”がおすすめというわけではないこと。

「血液のがんや生殖器のがんは抗がん剤で治る可能性は高いです。またステージ3までなら、治る可能性があるので標準治療を試すのがいいでしょう。

 私のような大腸がん、肺がん、すい臓がん、胃がんなど塊を作るがんでステージ4となったら、抗がん剤の目的は延命です。しかも半数以上の人には効果がない。それをふまえて、どう生きるかを考えてほしいです。

 私のやり方は理論的には間違っていませんが、万人が同じ結果になるとは限らないので、取り入れる場合は自己責任で、となります」

 “がん共存療法”を個人的な体験に基づいた、いち代替療法で終わらせないため、日本財団の助成を受け、東京都小金井市の聖ヨハネ会桜町病院で臨床試験が始まった(詳細は同病院ホームページ参照)。

「いずれは私も最期を迎えます。でもそれまでは、私の“がん共存療法”が“がん難民”といわれる人々の力になる日が来ることを目指して、歩み続けようと思っています」