インテリ芸人、ローカルで冠番組を持つ芸人も候補に

 さらに、大野さんは「3人のうち1人は、インテリジェンスを感じさせるような人が選ばれるのではないか?」と予想する。

「ナイトスクープは、疑問に対してきちんと専門家に話を聞きにいくなど、ものすごく学術的・科学的根拠に基づいて調査します。これは初代局長だった上岡龍太郎さんが、非科学的なものを信用していなかったことも大きい。バラエティーではあるけど、どこかEテレ的というか教養や知性を感じさせるコンテンツだからこそ、ナイトスクープの人気は健在なのでしょう」

 たしかに、銀シャリ・橋本は、関西学院大学経済学部を卒業したインテリ芸人だ。

「私も在阪7年目になりますが、関西人は“本当に面白い”とか、“コスパがいい”といったクオリティーに対するシビアな目を持ちます。それを納得させる説得力が大事なんですね。ナイトスクープは、たとえくだらない依頼でも説得力を持って調査するから面白くなる」(大野さん、以下同)

 それゆえ、知性派だったり、人情肌だったり、身体を張ったりできる探偵との相性がいいと大野さんは話す。となると、大野さんの個人的な“推し”は誰に?

「ロンドンブーツ1号2号の田村亮さんはハマりそうな気がします。依頼者に感情移入して、一緒に涙を流す姿が想像できるというか(笑)」

 また、「スケジュールが厳しいでしょうけど」としながらも、霜降り明星を推す。

彼らは、静岡朝日テレビで冠番組を持っているのですが、素人さんの扱いが上手で面白い。ローカルで冠番組を持っている芸人さんは、探偵としての素地があると思います

 そして、かつての桂小枝枠ではないが、月亭八方の長男・月亭八光(はちみつ)も「大穴としてありえる」と大野さん。

「ナイトスクープは、局長との掛け合いも見どころです。3代目局長であるダウンタウン・松本(人志)さんとの相性を考えると、アンケートで7位にランクインしたバイきんぐ・小峠(英二)さんも面白いと思います。松本さんと面白い化学反応が起こる─というのも大きな条件かもしれませんね」

 古くは、日本の「アホ」と「バカ」の境目はどこなのかを調査した「日本全国アホ・バカ分布図」を北野誠が。近年では、勇気を振り絞って声を上げた「吃音の少年の叫び」をスリムクラブ・真栄田賢が調査し大反響。ナイトスクープの名調査の陰には、いつも名探偵がいた。

 新たな名シーンの隣に映る新探偵は誰なのか? 皆さんも予想してみてはいかが!?

おおの・しげる 1965年東京都生まれ。阪南大学教授(専攻:メディア・広告・キャラクターなど)。慶應義塾大学卒業後、電通でラジオ・テレビ部門を担当し、スペースシャワーTV、NHKの制作ディレクターを経て現職

<取材・文/我妻弘崇>