高濃度ビタミンCはノーベル賞級

 「高濃度ビタミンC療法」とは文字どおり、高い濃度のビタミンCを点滴する治療法で、これもエビデンス不明のインチキ医療だと大場先生。

特にうさんくさいのは、高濃度ビタミンC療法はノーベル賞をとったポーリング博士の業績だとうたうクリニックです。たしかに彼はノーベル賞受賞者ですが、高濃度ビタミンC療法が認められて受賞したわけではありません。さもノーベル賞級の優れた治療法であるかのように見せかける商法にはだまされないように

 ポーリング博士の論文のひとつに、一部のがん患者に高濃度のビタミンCを投与した結果、生存期間が延びたと発表したものがあった。

 この結果に疑問を持ったアメリカで最も権威があるがん治療の医療研究施設のひとつが臨床試験で検証を行い、再現性なしと結論づけたのはもう40年以上も前だ。

「ビタミンC自体はもちろん有害ではないし、患者さんがビタミンCを多くとって免疫力が上昇していると感じられるのなら無理に止めません。ただし、この治療法はがんに効くとうたっている医療者を冷静に見ると素人ばかりで、ほかのインチキ治療もセットですすめられることがほとんどです」

 免疫細胞療法同様に、がん治療に関して「ココでしか受けられない」「あきらめない」などとうたいながら高額な費用を支払わないと受けられないものはニセ情報と思っていいと大場先生。

食事療法やらないよりやったほうがいい

 がんを治すには○○だけを食べろ(飲め)とか、△△は絶対に食べるななどといった食事療法も、大場先生は「やらないよりやったほうがいい、ではなくて絶対にやめるべき」ときっぱり。

 なかでも「生活の質(QOL)をむしろ悪化させるだけだから決して信用するな」と先生が強調するのは、ゲルソン療法および、この療法を基にしたと思われる食事療法だ。

 ゲルソン療法は1930年代にドイツ人のゲルソン医師が提唱。野菜ジュースの大量飲用や厳格な塩分管理のほかに四つ足動物の肉は厳禁とか、極めつきはコーヒー浣腸などの推奨もあり、欧米ではオカルト療法扱いだとか。

がんが消えるからとすすめてくる医師は標準治療ができない素人ばかりです。食べるという行為に対し科学的に意味のない強い制限をかけるのは、人が生きるうえで大事なエッセンスを奪っています。がん細胞が好む悪い食事なんてありません。食べたいと思うものを好きなように食べればいいと思います。ただし、受けている抗がん剤治療によっては味覚も変わるため、調理法や味つけなどを工夫しながらバランスよく栄養をとってください」