生の果物や野菜でアレルギーが出やすい

花粉症と聞くとスギやヒノキがよく話題になりますが、花粉・食物アレルギー症候群にもっともなりやすいのは、ハンノキとシラカンバなど『カバノキ科』の花粉症です」

 シラカンバは白樺といわれる木の幹が白い樹木で、北海道や岐阜県以東で見られる。ハンノキは北海道から九州まで日本全国に分布。雑木林や公園などで、よく目にする。

 ただ、カバノキ科花粉、ブタクサやヨモギなどの「草の花粉」に似たアレルゲンは、熱や消化酵素に弱いため、口の中だけで症状を起こし、重症化することは極めて少ない。そのため、果物や野菜を生で食べるとアレルギー症状が引き起こされるが、ジャムなど加工食品で反応することは少ないという。

「スギを含む『ヒノキ科』の花粉症で、口腔(こうくう)アレルギーが出ることは少ないですが、アナフィラキシーを伴って重症化することがありますので、注意が必要です」

 スギ・ヒノキの花粉症に似たアレルゲンは、熱や消化酵素に強く、体内で消化されずに全身に回るため、重症化しやすい。

 では、「花粉・食物アレルギー症候群かな?」と思ったらどうしたらいいのだろう。

「いちばんいいのは原因となる食べ物をとらないこと。通年とらないことに越したことはありませんが、花粉の飛散時期は特に用心したほうがいいですね」

 高齢者の場合、長年食べ慣れてきたものなので、うっかり食べてしまうことがある。

「アナフィラキシーは比較的若い人に多く、高齢者は少ないですが、持病があると重症化することがあります。高齢者のいる家庭は周囲が気をつけてあげましょう」

 ちょっと口の中がピリッとしたぐらいでは放置しがちだが、症状が出たら必ず病院へ行ったほうがいいのだろうか。

食後、口周りに異常が出たら口腔アレルギー症状かも! イラスト/ますみかん
食後、口周りに異常が出たら口腔アレルギー症状かも! イラスト/ますみかん
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「アレルギーはQOL(生活の質)疾患といわれていますので、生活に著しく支障がなければ病院へ行く必要はありません。花粉症を含め基準は『自分がつらいかどうか』で決めていい。我慢できないほどの痛みや重い症状があったら、専門医に相談しましょう」

病院選びは専門性重視、アレルギー外来へ

 花粉・食物アレルギー症候群は病院選びがポイントとなる。まずはアレルゲンを特定するための検査が行われるが、専門医や熟練した医師でないと判断が難しい。

 アレルギー検査は、血液中の抗体「IgE(アイジーイー)」を調べる血液検査が広く知られている。「特異的IgE」といって、特定のアレルゲンに反応する抗体の量を調べる検査だ。数値が高いほどアレルギー症状を引き起こしやすいとされているが……。

「検査結果を読み解くのは、やっかいで、数値が高くてもアレルギー症状が出ない、一方で低いのにアレルギー症状を起こすことがあります。アレルギー専門の外来で、経験豊かな医師に、血液検査と同時に皮膚テストを行い、診断してもらうのがベストです」

※画像はイメージです
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 どうやってアレルギーに詳しい医師を見つけたらいいのだろうか。

「日本では平成26年(2014年)に『アレルギー疾患対策基本法』という法律が施行され、各都道府県にアレルギー疾患に関する拠点病院を置いています。日本アレルギー学会と厚生労働省による『アレルギーポータル』というサイトで病院の検索ができます。また、日本アレルギー学会のHPではアレルギー専門医がいる病院も検索できるので参考にしてみてください」