とむ:好楽一行の花見を撮影した密着ロケがあって、僕が司会をやっていたんですよ。それなのに緊張からか自らめちゃくちゃ飲んで潰れて、気づいたらしのぶ亭で寝ている状態で……(苦笑)。
澤井:収録中に酩酊(笑)。
とむ:それで「やばい!」って正気を取り戻したんですけど、どうやら師匠が司会を代わってくださってて。しかも「今日はお酒を飲む場だから、一番飲んだとむが一番偉い!」ってフォローもしてくれたんですよ。テレビ来てるのに酔い潰れているんですよ、普通なら破門ですよ(笑)。
澤井:どんだけ優しい師匠なんですか(笑)!
好楽:亡くなったカミさんからね、「弟子は自分の子どもだと思って育てないと駄目よ」って言われてね。もちろん他の一門はここまで緩くないと思いますが、ウチは一門が家族になれるような雰囲気でやってますよ。
澤井:自宅の1階を開放してしのぶ亭にしているのも、好楽師匠の優しさを感じます。しのぶ亭を開いたきっかけは何かあったんですか?
好楽:やはりお客さんを前にした方が勉強になるし、経験値も上がると思ったんです。昔はよく「壁に向かって稽古しなさい」と言われたものですが、それは間違っている。お客さんはどこで笑っているのか、あるいは退屈であくびをしているのか、反応を見ることで弟子たちもシャカリキになって研究する。だからこそここでは年中独演会をやっていますよ。
とむ:僕も稽古ができると聞いて入門したのが大きいですね。
澤井:年中お客さんを相手にできるのはこの上ない環境ですよね。
好楽:私は後輩と独演会できるのが好きだからさ。他の門下のお弟子さんも、よくしのぶ亭で公演しているよ。「ウチでやる?」と聞くと、「え、いいんですか?」って驚かれるんだけど、垣根関係なく誰にでも開けた場所はあったほうがいいよね。
澤井:しかも自宅と考えると結構広いですよね。何人ぐらい入るんですか?
好楽:ここだと35人が定員かな。一番多い時で66人いたことがあるね。その時は鶴瓶が出てくれて、お客さんが玄関まで張り付いていていたよ。私も見ていたんだけど、端っこの方に中谷美紀さんがいてびっくりしたね(笑)
澤井:好楽さんといえば笑点のイメージが強いですが、そもそも笑点に入られたきっかけを教えていただけませんか?
好楽:元々は笑点メンバーになる前に、月1回若手の落語家を集めた「若手大喜利」という企画があって、そこがいわゆる笑点への登竜門みたいな感じで。そこでプロデューサーとも仲良くなって、「もうすぐお前の番だから」とも言われていたんだよね。その流れで1979年に笑点に参加した流れだね。
澤井:もう45年近くやられているんですね。
好楽:笑点に参加して数年経った頃、離脱していた時期もあったんだけどね。その頃に落語協会から大日本落語すみれ会(現・円楽一門会)へ移籍して、古典落語をもう一度勉強しようと思って。だから出演していたのはだいたい40年ぐらいになるかな。
澤井:それでもかなり長いですね……! 笑点に関して印象的な思い出はありますか?