ベルギー王女は王位継承権を持つ
新国王には、弟のアルベール2世が即位したが、年齢や健康上の理由から'13年に生前退位を表明した。次期新国王は、アルベール2世の長男・フィリップ殿下に譲位。
両陛下(当時の皇太子ご夫妻)は、'99年にブリュッセルで行われたフィリップ殿下とマチルド妃の結婚式にも出席された。マチルド妃は伯爵令嬢で、ベルギー王家初のベルギー人王妃。
結婚後の'00年に来日した際は、天皇陛下と雅子さまと葛西臨海水族園に出向かれた。その2年後には、サッカーワールドカップ日韓大会の日本対ベルギー戦を観戦、'05年には愛知での『日本国際博覧会』に賓客として来日している。
'12年の経済ミッションでは、夫妻で精力的にスケジュールをこなされた。行動力があるといわれるマチルド妃は単独で宮城県を訪れ、東日本大震災の被災者を慰問した。国王と王妃になって初めての来日は、『日本・ベルギー友好150周年』の'16年だった。国賓として、歓迎式典や宮中晩さん会に出席。
令和の天皇の幕開けには『即位礼正殿の儀』や『饗宴の儀』に出席。『饗宴の儀』でフィリップ国王を出迎えられた陛下は、共に62歳というご年齢と君主というお立場からの再会だった。
愛子さまとフィリップ国王夫妻の長女・エリザベート王女もまた同じ21歳だが、王女はベルギー初の王位継承権を持つプリンセスという違いがある。欧州では、国連女性差別撤廃条約が成立してから、スウェーデン、オランダ、ノルウェーなどの王室で性別によらない継承への法改正が加速したことから、ベルギーも'91年に憲法改正となった。
オランダ静養のときにおちゃめな愛くるしさで愛子さまから笑顔を引き出したオランダのアレクサンダー国王の長女・アマリア王女(19)も、将来の女王だ。今後、君主となるという立場は違っても同世代のプリンセスたちであることに変わりない。新たな架け橋となって、さらに友好親善が深まることを期待したい。
取材・文/友納尚子 1961年生まれ。新聞・雑誌記者を経て独立。雅子さまのご病状について、皇太子妃時代に初めてスクープ。著書に『ザ・プリンセス 雅子妃物語』(2015年)『皇后雅子さま物語』(文春文庫)などがある