審査基準は内面重視「魅力的」な女性とは?

 そこで気になるのが「審査基準」。ミス・ユニバースにふさわしい女性像とは?

「リーダーシップがあり、魅力的な女性であることです。応募できるのは18歳以上28歳未満と年齢差があるのですが、若さを基準とした外見の美のみが基準になると28歳は18歳に勝つことは難しいでしょう。しかし、年齢や経験を重ねたからこそ備えられる魅力というものもあります。見た目ではなく、総合的な魅力を考えて審査するのです」

 では“魅力的”であることとは、どういうことなのだろうか?

「例えば来週、大切な人たちを集めてバーベキューパーティーをするとします。そのときに誰を呼びたいかを考えると、お高くとまった人や自分勝手な人ではなく、一緒にいて楽しい、自分や周囲の人を幸せにしてくれるような人に声をかけたいですよね。そういう人が『魅力的な人』だと考えます」

 ドレスでの審査、水着審査、面接など、さまざまな審査があるが、どこを見ているのだろうか?

「ドレス審査に関してですが、ミス・ユニバースは仕事として公式の夕食会などに参加する機会が増えるため、ゴージャスなドレスを着た状態でどれだけ優雅に自信を持ってパフォーマンスできるかを見ます」

 ミス・ユニバースとは別のミスコンテスト「ミス・アメリカ」では、2018年に水着審査が廃止された。だがミス・ユニバースでは今でも重要な審査基準だ。

「水着審査では、『心身の健康美』を見ます。セクシーであるとか、水着が似合う・似合わないという基準ではありません。太っているとかやせているといった自分の肉体にコンプレックスを持つことなく、どれだけ自分の身体に自信を持って健康美を表現しているかを審査しています」

 自分らしく自信を持って振る舞えることが、ミス・ユニバースの必須条件なのだ。

トレーニングも審査、世界が認める女性に

 ミス・ユニバース・ジャパンのセミファイナリストに選ばれた女性たちは、4か月にわたって集中的にトレーニングを行い、次なる審査に臨む。スピーチやウォーキング、リーダーシップを養うためのグループワークなど、その内容は多岐にわたる。グローバルな大会であるため、日本と世界の作法の違いについても教え込まれるという。

「私たちは総理大臣などの重職の方々に表敬訪問をよくするのですが、その際は日本の代表なので『日本人として』どういう作法をしなければいけないかを教えます。一方で世界大会ではその作法はできないということははっきりと話します。自分がいる環境がどういう文化かを理解し、適した作法をしっかり行うことが大事なので、その判断力を身につけてもらうようにしています」

世界大会前に岸田総理のもとへ表敬訪問もする(C)MY group
世界大会前に岸田総理のもとへ表敬訪問もする(C)MY group
【写真】2022年度ミス・ユニバース日本代表の坂本麻里ベレンさん

 トレーニングの最中の態度も審査対象だ。

「大会ではウォーキングやパフォーマンスを見ますが、それ以外の日常の考え方や振る舞いもトレーニング期間中に見ています。例えば飲み物にしても、ペットボトルを何本も買っていたりしたら環境問題が世界的関心事である昨今ではエレガントではないし、リスペクトもできません。また、周囲のスタッフへ率先して気遣いができているかなども見ています」

 常に「見られている」のが、女性の代表。トレーニングの段階から、戦いは始まっているのだ。