しかし、彼の“兼任コーチ”ぶりを歓迎する一方で、《生きた最高の見本がいて選手達がみんなキラキラしている。 メンタルまで癒すダルがいて思うけど、他のコーチ陣は立場的にどうされているのだろう?》と、本来ならば選手の指導にあたるべきチームコーチの“立場”を心配する声も。

『ロサンゼルス・エンゼルス』大谷翔平や、『シカゴ・カブス』鈴木誠也らの招集に尽力した栗山英樹監督が、日本代表を世界一に導くために有能なコーチ陣を集めたのは当然のこと。主に投手陣を預かるのは吉井理人投手コーチと、ブルペン担当の厚沢和幸コーチだが、すっかりダルビッシュに押され気味のようなーー。

栗山監督は「感謝しかない」

「そんなことはありませんよ(苦笑)。そもそも集められたのはシーズンで結果を出している、一流の技術を持った選手ばかり。もちろん助言もしますが、代表コーチの役割といえば監督と作戦を練って、チームをまとめ上げて気持ちよくプレーさせること。そうすれば自ずと結果は出ますから。

 それに栗山監督に吉井、厚沢両コーチは日ハム時代のダルを指導してきた面々。今やメジャーでエース級の活躍を見せる教え子を信頼していますし、大会で使用されるメジャー公式球には彼の方が明るい。栗山さんはダルの献身ぶりに“感謝しかない”と、むしろ兼任コーチぶりを歓迎していますよ」

 とは前出の野球ライターの弁で、選手とコーチの関係が悪くなることはないようだ。また吉井コーチに至っては、2023年シーズンから『千葉ロッテマリーンズ』監督も務めるだけに、佐々木朗希がさらなるレベルアップをしてくれれば“渡りに船”ということか。ただ、問題が一つだけあるようで……。

「WBC終了後には各々のチームに戻ってシーズン開幕を迎えるわけですが、あまりにもダル塾に熱心になってしまうと、いざチームの投手コーチが指導しようとした際に“ダルさんはこう言っていたんで”と聞かなくなる可能性も(笑)。

 特に若い選手にとってダルビッシュはテレビで活躍を見ていたヒーローなわけで、さらにメジャーリーグでも結果を出している、ましてやチームメイトとして世界一になれば尚更のこと。各所属チームのコーチ連中にとっては、画面に映るダル塾を悩ましく見ているのかもしれない」

 2月21日には投手陣のメンバーで食事会を開いたことを報告していたダルビッシュ。選手兼コーチ、そして良き兄貴分としてチームになくてはならない存在になっているのは間違いない。