男性売り子ならではの強み
「男性として売り子をしていた先輩への憧れから応募しましたが、最初はやっぱり抵抗感がありました。1試合でだいたい70人から100人くらいの売り子がいるのですが、試合前のミーティングで勢ぞろいしたときに、男性が僕含めて2,3人しかいなかったんです。正直、売上の数字を見れば、まだまだ女性の売り子には敵わない部分もあります」
売上の面だけでなく、観客から心のない声をかけられることもあるという。
「お客さんに呼ばれて駆けつけたら、“男の子もいるんだ”って珍しがられることもよくあります。なかには、“女の子じゃないの?”“なんで男子なんだ”ってがっかりされる人もいます。でも、それを言われることはわかっていますし、自分の中で割り切っていますよ。むしろ、男性ならではのメリットもあるんです」(山口さん)
そのメリットとはいったい……。
「女性よりも高い身長を生かして、遠くのお客さんにいち早く気づいたり、声出し解禁後は誰よりも声を張ったり。最近では球場に足を運んで下さる女性のお客さんも増えて、声をかけていただく機会も増えました。また、女性に声をかけづらい、という男性のお客さんもなかにはいて、そういった方々から喜んでもらえることも多いんです」(山口さん)
ハンデを感じることはあっても、それをはねのけてより良い売り子になるべく励む山口さん。最後に、件のツイートについて尋ねたところ、
「昔から売り子というのは女性がやっているイメージでしたが、僕は別にそこまで気にしていないというか。周りに女性の売り子が多くても、自分にしかできない努力をして、頑張ろうと思っています」(山口さん)
アスリートでも売り子でも、もちろん男性でも女性でも、その頑張る姿には温かい声援を送りたい!