便検査さえやっていれば大腸がんは心配なし

 便潜血検査は住民検診や職域健診でも広く行われていて、簡単で科学的根拠がきちんと示された検査法です。

 ただし、この検査には短所もあります。同じ検査を1週あけて繰り返すと、1回目は陽性だった結果が1週間後には陰性になってしまう場合がいくらでもあるのです。

 また、便潜血検査を受けていれば「大腸がんは大丈夫」とも言いきれません。

 この検査は、進行がんによる死亡率を下げる効果は期待できますが、「大腸がんになりたくない」「見つかっても早期のうちに解決したい」という希望には応えていません。

2つの大腸がん検査のメリット・デメリット
2つの大腸がん検査のメリット・デメリット
【写真】大腸がん検査は2種類、それぞれのメリット・デメリット

 そのためにもやはり、大腸の内部を直接、くまなく観察できる大腸内視鏡検査をぜひ一度は受けてください。大腸がんになる前段階のポリープ(腺腫)を早めに発見して切除できれば、将来的な大腸がん発症のリスクをかなり大きく減らすことができます。

 ただし、医師による検査の上手下手があります。

 下手な医師による検査では患者さんは苦痛を感じるうえ、リスク病変を見逃される可能性すらあります。検査機関を選ぶ際は慎重に。なかには法外な検査料をとる「ぼったくり」同然のクリニックもあるようですから要注意です。

胃がんはバリウムをやっていればOK

 胃がん検診には胃X線検査(バリウム検査)と胃内視鏡検査(胃カメラ)の2つの方法がありますが、バリウム検査のほうは「百害あって一利なし」です。その理由をいくつか挙げておきましょう。

 まず1つは、バリウム自体の不快感が強いことです。人によってはバリウムが大腸に張りついてしまい、便秘や腹痛、最悪の場合は腸閉塞を起こすケースすらあります。

 さらには、検査によるX線の無駄な被ばくです。バリウム検査による放射線被ばく量は、胸のX線写真の50倍以上にもなるといわれています。

 こうしたリスクがあるにもかかわらず、診断できる範囲は何枚かの写真判定で行われるため非常に狭いのです。

 もっと言えば、バリウム検査で仮に要精密検査と判定された場合、結局は胃カメラを受けることになります。身体への負担を総合的に考えれば、バリウム検査を毎年受けるくらいなら、2〜3年に1度でもいいので胃カメラに切り替えたほうが身のためです。

 もちろん、胃カメラでも医師によって上手下手があるのは言わずもがなですが。

胃がんはバリウムをやっていればOK(イラスト/小島サエキチ)
胃がんはバリウムをやっていればOK(イラスト/小島サエキチ)