「年収106万円」は加入の条件ではない
「目先の損得だけで決めるのではなく、社会保険の加入で得られる保障も踏まえて106万円の壁への対処を考えましょう」
こうアドバイスするのは、ファイナンシャルプランナーの塚越菜々子さん。次のQ1~5が「106万円の壁」の条件だ。
“106万円の壁”に自分は当てはまる?
Q1. 月額賃金を8万8000円以上もらっている(YES・NO)
Q2. 週に20時間以上働いている(YES・NO)
Q3. 勤務する会社の従業員数が101人以上いる(YES・NO)
Q4. 雇用期間は2か月以上(YES・NO)
Q5. 学生ではない(YES・NO)
「5つ全部あてはまったら適用となり、社会保険に加入しなければなりません。『106万』という数字を勘違いしている人も少なくないので、条件を正しく理解することが大切です」(塚越さん、以下同)
Q1の月額賃金8万8000円以上は、1社との契約の金額で、12か月分で計算すると約106万円。故に106万円の壁と呼ばれている。
「ただし106万円という数字自体に意味があるわけではなく、月額賃金8万8000円以上の契約かどうかが判断基準になります。
『年間で106万円以下に抑えれば壁を超えない』『今月は出勤が多く給料が10万円以上だったから心配』などと捉えるのは間違いで、あくまで会社との月の契約がどうなっているかです。週の労働時間20時間以上、雇用期間2か月以上とする判断基準も同様」
Q3の勤務する会社の従業員数101人以上は、2024年10月には従業員数51人以上に変更される。
「該当する企業が増えるので間口はもっと広がりますが、中小企業ではパートの社会保険料を負担したくないという理由で、雇用を縮小する可能性も。利害はさらに複雑になり、働きたくても働けない人が増えそうです」