'22年、そんな『イカ天』に出場したアーティストたちを中心に『オムニバスアルバム』を制作するクラウドファンディングが行われた。募集はすでに終了し、4月7日にアルバムが発売される運びに。

 参加アーティストには、石川浩司(たま)、黒沢伸(宮尾すすむと日本の社長)、和嶋慎治(人間椅子)、マユタン(マサ子さん)、スイマーズ、メカエルビス、 THE KIDS、remote.、ONE NIGHT STANDS、BELLETS……と、『イカ天』が始まる時間にテレビの前に座った人々にしてみたら心が踊らないわけがない名前が並んでいる。

クラファンは亡くなったプロデューサーへの哀悼

 そのアルバムをたずさえて、来る4月18日、神奈川県川崎市の老舗ライブハウス「CLUB CITTA'」においてライブイベンド『令和イカ天オムニバスアルバムレコ発』が開催される。ゆかりのメンバーが集まり、懐かしい曲を披露するという。もちろん、氏神率いるカブキロックスも参加する。

「イカ天出身のバンドが集まるライブは、以前から定期的に開催されてはいたんでござる。その音頭をとってくれていたのが、『イカ天』で出場バンドの選定をしていた音楽プロデューサーのジャクソン井口殿であった。ジャクソン殿は『イカ天の父』とも言える存在で、出場バンドのアーティストたちの公私ともによきアドバイザーでござったな。そんなジャクソン殿が'22年3月に喉頭がんで亡くなってしまった。今回のクラウドファンディングとライブへの参加は、ジャクソン殿への感謝の思いを込めているところもあるのでござる。

 拙者がバンド活動を始めて、もう37年でござる。カブキロックスは結成して34年。メンバーの入れ替わりはあったでござるが、みんな、亡くなったり捕まったりしていない(笑)。そのうえ全員がまだ音楽に関わる仕事をしている。これはバンドとしては非常に珍しいこと。今回のライブでは久しぶりにオリジナルメンバーが全員集まるのでござるよ。拙者も嬉しいし、楽しみでござる」

 インディーズバンドの星でもあり、「ミスターイカ天」「イカ天の顔」ともいわれる氏神だが、実は『イカ天』出場前に前身のバンドでメジャーデビューが決まっていたのだという。

「所属はCBSソニーで、ROLLY(当時はローリー寺西)率いる『すかんち』と同期でござった。その部署には故・尾崎豊さんもいた部署でござった。ROLLYとは今でも『戦友』として親しいでござる。

 拙者以外、事務所が選んだメンバーで結成したバンドでデビューさせる、という方針になり、それは嫌だったので、自分でメンバーを探し、自分で結成したインディーズバンドということにして『イカ天』に出場したのでござる。周りの人間には嫌な顔をされたものでござるが、人気が出たから結局は許してもらえた、というわけでござる」