目次
Page 1
ー 映画監督・安藤桃子が住む高知の魅力とは
Page 2
ー 映画のロケで訪れた高知に一目惚れ
Page 3
ー 映画は公開され、出産を終えるも鬱に
Page 4
ー 芸能一家で育てられた特異な幼少期
Page 5
ー 懸命に働いても「2世だから苦労してないよね」
Page 6
ー 恋に落ちて結婚も離婚、娘と2人で高知暮らし
Page 7
ー 地域活性化の思いを形にしたミニシアター
Page 8
ー 高知での新しい映画祭にかける思い

 映画監督の安藤桃子(41)の愛車は「クラウドくん」。傘ホルダー、あったかハンドルカバー、子ども乗せシートでカスタマイズされた電動アシスト自転車だ。

映画監督・安藤桃子が住む高知の魅力とは

 安藤が住んでいる高知県のとある街はコンパクトで、愛車でどこにでも行ける。

「あそこに止めちょったの、あんたの自転車やない?」

 近所の人に教えてもらい、「ごめん、忘れてたー」と慌てて回収にいくことも。

 仕事をしながら、1人で8歳の娘を育てている安藤。

「今日は下校が遅かったけど、大丈夫やった?」

 ご近所さんやママ友たちがいつも娘の様子を気にかけてくれて、助かっていると笑顔を浮かべる。

「外から来た者にも家族のように接してくれて、すごく安心感がありますね」

 東京出身の安藤が、初めて高知を訪れたのは10年前。2作目の長編映画『0・5ミリ』のロケハンのためだ。高知空港に降り立つと、一瞬で心が解き放たれたという。

「今でも時々感じるんですけど、いろんな喧噪からパッと離れて、ロサンゼルスとかに行ったときのような解放感がある。感動する景色があるわけでもない普通の空港なのになんなんだろうと、最初はすごく衝撃でしたね」

 安藤の父は俳優・映画監督の奥田瑛二(73)、母はエッセイストの安藤和津(75)、妹の安藤サクラ(37)も女優という芸能一家。両親に連れられて幼少期から国内はもちろん、海外などさまざまな土地を訪れているにもかかわらず、初めての経験だった。