ビタミンB1、B12は医師が注目する成分
認知機能に大きく関わるこの2つのビタミンが、どのような働きをするのか知っておこう。
ビタミンB1には、身体の中枢神経や末梢神経などを保護する作用がある。
「この成分が足らないと、認知機能障害を引き起こしたり、記憶力が低下して物忘れが生じる『ウェルニッケ脳症』を発症するおそれがあります」
ビタミンB1はブロッコリー、玄米、かぶなどに含まれているので積極的にとるようにしよう。また、欠乏によって脳だけでなく身体に起きる症状もある。
「さらに悪化すれば末梢神経が侵されて、『脚気(かっけ)』を発症することがあります。手足に力が入らなくなって、動きが鈍くなるのです」
一方のビタミンB12も神経を保護するビタミンだが、血液中の「ホモシステイン」というアミノ酸を減らす働きがある。このビタミンが脳の血流を良くして、認知機能障害を起きにくくしてくれるのだ。
「不足すると、ホモシステインが増えて、動脈硬化が進行します。脳の細動脈に動脈硬化が起きれば、脳の血流が悪化し、脳血管性認知症を発症するおそれも。
しかし、ビタミンB12にはホモシステインを分解する作用があります。積極的に摂取したい成分です」
ビタミンB12は肉類や魚介類に多く含まれている。
「偏食で肉が嫌いだったり、完全菜食主義者の人は、ビタミンB12が不足しやすい。また、高齢者も人によって、肉や魚などの動物性食品を避ける傾向があります」
肉類のビタミンB12は、レバーなどの内臓系の部位に多い。ただ、中高年以上になるとコレステロール値が上昇しやすいので、気になるなら“赤身肉”がおすすめだ。
認知症予防に役立つ2大成分
1. ビタミンB1
神経の保護作用があり、不足すると物忘れなどの記憶力障害や、手足に力が入らない脚気などが起こる。
《多く含む食材》
・ブロッコリー
さまざまな栄養素が豊富でビタミンB1の含有量も多い
・玄米
ぬかの部分に白米の約8倍ものビタミンB1を含む
・かぶ
冬から春が旬。実にも葉にもビタミンB1を含む
2. ビタミンB12
動脈硬化を防ぎ、神経を保護する。不足すると脳の細動脈に動脈硬化が起きて認知機能障害が生じる。
《多く含む食材》
・肉類
牛肉や豚肉、鶏肉などに含まれ、特にレバーに多く含まれる
・魚介類
さんまやさば、煮干し、貝類のしじみ、あさりなどに含まれている