自身の給与明細も公開しており、'22年5月の差引支給額は1,032,990円となっている。
“教育界の闇”もオープンに
買い取る・買い取らないの「基準」は。どのような属性の人でも買い取るのだろうか。
「アルバイト以外なら誰でも買い取っています。コンビニでバイトしているレジの人の給与明細やそのお話は取り上げても……と思うので(笑)」
それほど給料をもらってないだろうというイメージを持たれがちな職業がそうではなかった時、またはその逆だった場合が特に注目を集めている。冒頭で紹介した教頭先生や郵便配達員がそれに当たるだろう。教頭先生は“結構もらってる”、郵便配達員は“そんなにもらってない”というイメージの人が多いのではないだろうか。教頭先生は通信制高校の職員。月収は差引支給額で191,750円である。月の労働時間は約160時間、サービス残業は約30時間。昼休みは“ゼロ”であり、「自分の給与明細が“教育界の闇”」としている。
「以前から公立の学校で教員をしている方の労働環境の待遇改善の声をニュースなどでよく見ますが、通信制高校(私立高校)は公立の教員よりも待遇が悪いのだなと衝撃を受けました。教頭先生でこれなら他の先生の年収はさらに低いということで、これでは教員の質を保つことはできませんね。
未来の教員の待遇改善のためにも、このような事例があるということをリアルな給与明細とリアルな声を世に発射し続けることが大切だと思います。なぜなら多くの人は年収300万円の教頭先生なんて存在するわけがないと思っているので。オープンにする必要があります」
多くの給与明細を買い取りしてきたなかで、「日本の現代社会」をどのように見てきたのだろうか。
「格差を感じます。具体的には年収400万円以下のサラリーマンと年収1000万円以上のサラリーマンという1つ目の格差。年収1000万円以上のサラリーマンと事業が上手くいっている経営者という2つ目の格差です。
1つ目の低年収サラリーマンと高年収サラリーマンとの格差については、差がどんどん広がっているなと感じています。近年、政府が力を入れているNISAなどの施策を低年収サラリーマンは貯金がないから使えず、貯金がある高年収サラリーマンは活用できる。結果、格差はどんどん広がるなと感じています。
2つ目の高年収サラリーマンと上手くいっている経営者との格差は、節税ができるかできないかです。ふるさと納税などはありますが大きな節税がしづらい高年収サラリーマンは年収が増えれば増えるほど、所得税や住民税も増えますが、経営者であれば節税として社宅や社用車の活用などができるため、使えるお金である可処分所得という観点では大きな差があります」