大事なのは「断る勇気」
街中での名刺交換の問題点として不退去罪や業務妨害などが挙げられているが……。
「これらの罪も当てはめにくいです。例えば、コンビニの中で買い物もせずに名刺交換をしていた場合、不退去罪として対応してもらえると思います。ただ、駅前の人通りが多い場所で名刺を配っているくらいでは、それが私有地であっても、警察を呼ぶ人もなかなかいませんよね。名刺に書いてある携帯番号や職場へのしつこい電話での営業行為についても、よほど悪質な場合は“偽計業務妨害”が当てはまるかもしれませんが、正直厳しいところです」
取り締まりが難しいこの行為は、最近になって始まったことではない。
「“○人と名刺を交換するまで帰ってくるな”という新人研修は、15年以上前から行われており、今も取り入れている会社はたくさんあります。新人が名刺を配って、顧客リストを作るというのは、一般的な営業活動であって、犯罪行為ではありませんよね。これらの行為を取り締まるとするなら、全ての営業活動ができなくなってしまうでしょう」
研修や営業活動の一環となっているから、撲滅するのは難しい。被害に遭うことを予防するためには“断る勇気”を持つことが重要だ。
「名刺を交換するときは、相手の名前や会社名を見た上でするわけですから、ある程度納得した上で行われたとみなされます。だから、その後しつこく営業電話がかかってきた場合、“やめてください”と勇気をもって断っていただきたい。断っているにも関わらず、しつこく電話があれば犯罪に抵触する可能性があります」