7月には池井戸モノ主役たちがそろい踏み

 一方、面白かった日曜劇場作品へと目を転じると、やはりドラマ史を飾る名作が名を連ねた。1位は当然のように『半沢直樹』('13年7月、'20年7月)だ。「人間同士の生々しいバトルが見ごたえたっぷりで、クセの強い演技にもハマった」(宮城県・54歳)と絶賛の声が多数。

「視聴率的にも日曜劇場の最高記録ですし、文句なしです。この作品が偉大なのは、ドラマ黄金期以降女性がメインだった『日曜劇場』におじさんたちを呼び戻したこと。明日は会社だという憂鬱な気分を吹き飛ばすカタルシスがありました。

 ここから生み出されたフォーマット、悪役の大げさな芝居と顔芸、虐げられる町工場に暗躍する大企業、そして最後に倍返し……みたいなものはその後の『日曜劇場』にも脈々と受け継がれます」(カトリーヌさん、以下同)

 2位の『JIN―仁―』('09年10月、'11年4月)は現代の医師が江戸時代にタイムスリップするという漫画原作らしい設定を見事にドラマ化した。

「名作です。歴史改変モノであり、良質な医療モノであり、切ない恋愛ドラマでもあった。盛りだくさんの要素を本当にうまくまとめていました。役者さんも素晴らしく、花魁役の中谷美紀さんやお母さん役の麻生祐未さんなど脇を固めた女優陣は特によかったです」

 3位の『ビューティフルライフ』('00年1月)は木村拓哉主演、北川悦吏子脚本というど真ん中の恋愛ドラマ。一見、『日曜劇場』っぽくはないが……。

「それまで年齢層が高かった『日曜劇場』の視聴者層を若者へと引き下げたのがこの作品。バリアフリーという言葉はこのドラマで普及したと言われるくらい車椅子のヒロイン・常盤貴子さんは印象的でした。ラスト、ヒロインの死に化粧を施す木村さんの演技には号泣必至です」

 こうして'00年以降を振り返ると、大型企画からトンデモ設定まで幅広いジャンルを網羅しているのがわかる。

「猟奇殺人鬼とヒロインの人格が入れ替わる『天国と地獄~サイコな2人~』('21年1月)とか意外に攻めた企画も多いですよね。

 海外ドラマっぽい今クールの『ラストマン―全盲の捜査官―』での福山雅治さんと大泉洋さんのバディっぷりも楽しみですし、7月クールには堺雅人さん、阿部寛さん、役所広司さんという池井戸モノの主役3人がそろい踏みする超大型企画『VIVANT』も控えている。

 時流に沿ったモノもやりつつ、壮大なスケールのドラマをやれる民放唯一の枠として、今後も期待しています」