ほかの社員が大勢いる前で怒鳴りつけられて

 もう1人の被害者のB子さんが受けた被害は、セクハラだけではなかった。

昨年から、IPOを目指すプロジェクトに携わっており、メンバーのうち、私以外は役員と役職付き本部長だったため、事実上ほぼすべての業務を請け負っていました。その中で、契約書のリーガルチェックが必要だったので、担当である別部署のY氏に依頼しました。すると、“私のジョブミッションではない”“あなたのせいで退職しますよ”などと、ほかの社員が大勢いる前で怒鳴りつけられたのです」(B子さん、以下同)

 上司に相談するも“リスペクトが足りない”と言われ、Y氏に不快な思いをさせないために、今後は直接コンタクトを取らないよう指示されたそう。

これまで有休の日にもミーティングに参加したり、残業もたくさんして業務をこなしてきたのに、こういった判断をされたことで夜眠れなくなったり、就業前に体調が悪くなるなどの影響が出てきて……。心療内科を受診したら、適応障害で3か月の休暇が必要だと診断されました。しかし、“今、それだけの期間を抜けられると困る”と、診断書を受け取ってもらえず、1週間しか休ませてもらえませんでした。無理を押して復帰したこともあり、体調が悪化する一方だったので退職を申し出たら部署異動を提案されました。状況の改善を検討するということだったので1度はクラシアンに残ることにしました

『クラシアン』在籍中に、それぞれの男性上司からセクハラを受けたという元従業員の女性2人
『クラシアン』在籍中に、それぞれの男性上司からセクハラを受けたという元従業員の女性2人
『クラシアン』在籍中に上司からセクハラを受けたという女性ふたり

 しかし、2022年11月から異動した部署の直属の上司であるZ氏から、セクハラの被害を受けることに。

Z氏と1対1のオンラインミーティングが頻繁にありました。異動してすぐのころは業務に関する内容でしたが、だんだん個人的な話題が多くなり“お前と2人で話す時間が癒しだ”などと言われるようになって……。“お前って胸大きいよね”、“俺に巨乳アピールしていいよ”とか“その巨乳があれば事業部長も言うこと聞いてくれてイチコロだよ”といった発言をされました

 これらのセクハラにより、適応障害が悪化。再び医師から休職が必要、もしくは退職を検討するべきという診断を受けた。そのため、被害をZ氏の上司に相談したが、“人事には相談しないでほしい”などと言われ、セクハラを内々で収める流れに。これに不満を感じたB子さんは、社外の窓口に通報し、その後クラシアンを退社した。

 クラシアンは、『文春オンライン』による元従業員の告発に対し、裁判に関わるため具体的な回答は控えるとしたうえで、次のように回答した。

《不適切な言動や行為を行った当該従業員については、既に厳正な指導ならびに処分を行っております》

 しかし、A子さんとB子さんは

現状、処分をしたという話は聞いていません

 と、口を揃える。