更年期が血圧と血糖値の“曲がり角”
国民健康・栄養調査によれば、更年期を境に高血圧の女性は3倍以上に増加。女性は男性よりも、より注意が必要だという。
「更年期の間だけ血圧が不安定になり乱高下するパターンもありますが、そのまま高血圧になる方もいます。
女性ホルモンには血管をやわらかく保つ働きがあるので、閉経に伴い、血管の柔軟性が低下してしまうのです。男性ホルモンの働きが増加することも高血圧の要因に」
もし、更年期に血圧が不安定だと感じたら、早めの受診を。日々の血圧をこまめに記録しておくようにすることが大切だ。
「高血圧や高血糖を放置しておくと、心筋梗塞や脳卒中といった命に関わる病気になる可能性もあります」
また、更年期の女性ホルモンの変化は、血糖値にも影響がある。
「女性ホルモンが減少すると、インスリンの作用が低下し、血糖値が上がりやすくなるのでさらなる注意が必要です」
栗原先生によれば、女性は脂肪肝が原因で糖尿病を発症するケースが多いという。
「だるい、喉が渇くといった自覚症状が現れたときには糖尿病がかなり進んでしまった状態といえます。内臓脂肪や脂肪肝は皮下脂肪に比べ、落としやすい脂肪でもあるので、主食をちょっとだけ減らすなど、すぐできることから始めてみてください」
栗原先生は無理なダイエットにも警鐘を鳴らす。
「糖質を極端に制限すると、脂肪肝が悪化してしまう。そこで、私はご飯やパン、めん類などの主食を1割減らす方法を推奨しています」
血圧にも血糖値にも有効な“タンパク質摂取”
主食や糖質を減らしても、タンパク質だけはしっかりとるべきだという。
タンパク質は筋肉をつくる大事な材料になり、内臓脂肪を減らす効果があるからだ。
「良質なタンパク質をとるには肉が最適。肉を食べて運動をすれば筋肉が増えて、血圧や血糖値をダブルで下げることができます。また、タンパク質を適量とることが、脂肪肝の予防につながります」
さらに消化吸収を良くするためには、ゆっくり食べることが大事。早食いをすると糖が一気に血液中に取り込まれるので、血糖値の急上昇が起きてしまうので、よく噛むようにしよう。
一方、血圧を抑えるには、塩分の摂取を控えること。それには、料理にだしをきかせるようにする。だしのうまみを感じられればストレスを感じないで減塩できるので、うまみ成分を含むきのこ、貝類などを多用するとよい。
食事だけでなく、生活習慣を変えたり運動を取り入れれば、薬を飲まずに血圧や血糖値を改善することも可能だ。
「血圧や血糖値を下げる薬を飲めば、検査数値は正常値になるかもしれませんが、結局は対症療法にすぎません。根本的な点を改善しないと、いつまでも薬を飲み続けるはめになりますよ」
医師おすすめの改善ワザをしっかりチェックしよう!
更年期に血圧・血糖値が上がるメカニズム
40代前半「基礎代謝が下がり筋肉量が減る」
↓
40代後半「女性ホルモンの減少で内臓脂肪が増える」
↓
肝臓に脂肪がつき「脂肪肝」に
↓
・インスリンの作用が低下して血糖値上昇! ・動脈硬化がすすみ血圧が上がる!