令和の結婚式事情

 若者からは否定的な意見ばかり聞こえるが、令和の結婚式事情はどうなのか。恋愛・結婚・家庭生活全般に関する調査研究をする、リクルートブライダル総研の落合歩所長に話を聞いた。

「昔は結婚したら必ずといっていいほど、家と家の“儀式”として結婚式が行われてきましたが、今では結婚すらも、“する”“しない”を選択するようになったことで、その形も変化してきました。'80年代ごろは、バブルもあって、結婚式は豪華さに重きが置かれていました。それが、近年では好きなコト・好きなモノを表現する結婚式が増えています」

 具体的には?

「山登りが好きなカップルが山頂で式を挙げたり、大人数でツアーを組んで1泊2日で開催したりと、その形式は多彩です。この背景には、生き方が多様化したことが理由にあると考えます」

 どういうことか。

「過去には、入社した会社の中で相対的に自分の人生を評価することができていました。しかし、その生き方が多様化し、自由になったことで、相対的な評価が難しくなった。だからこそ、自分の人生に関わってくれた人たちに向け、今後の人生の歩みを承認してもらう“自己肯定の場”になっているんです。そのため、自分らしさを表現する式が増えているのでしょう」(同・落合所長、以下同)

 式にネガティブな意識を持つ若者も多いようだけど……。

「実際に結婚式を行った人の満足度はとても高いという調査結果もありますから、情報をよく吟味して選択してほしいと思います」

 新たな門出に幸多からんことを──。

落合 歩●化粧品メーカーの宣伝部を経てリクルートに入社。マーケティング局宣伝企画グループなどを経て、2011年よりブライダル総研に異動。未婚者の動向から結婚、結婚式、夫婦関係に関する調査、研究を行い、2019年より現職。テレビ、新聞、雑誌などメディア取材、寄稿および講演多数。