甘いのにカロリーがほぼない理由
もうひとつ、甘いのにカロリーがほぼない理由は消化、吸収のされにくさにある。
「スクラロースや糖アルコールなどは人間の消化酵素では分解されにくく、吸収も難しいため、体内を素通りして排泄されます。吸収されなければ、当然エネルギーとして利用されないため、カロリーもゼロに近い状態となります」
なお、栄養成分の表示方法は厚生労働省によって厳格に定められている。
「食品100g、または飲料100mlのエネルギー量が5kcal以下であれば、『カロリーゼロ』と表示することが可能。ですから厳密にいえばカロリーゼロでない場合もあるのですが、このエネルギー量で体重増加や肥満を招くことは通常はありません」
実は、WHOが今回勧告したガイドラインに3つ目の糖アルコールは含まれていない。
「問題にされているのは天然甘味料と人工甘味料。どちらも脳は甘さを感じますがエネルギーにはならないため、ダイエットにいい、と、この10年ほどで一気に市場に広まりました。しかし『低カロリーだからと油断してたくさん食べてしまうのでは』、『低カロリーのものでは我慢できなくなり、結局はカロリーの高いものを食べてしまうのでは』といった指摘は市場に広まった当初からありました」
人工甘味料に関しては“腸内フローラに影響を与える”“発がん性がある”との情報もあるが……。
「動物実験などで悪影響が見られた研究も確かにあるようです。しかし、これらの結果は、ある程度の量を摂取した上で得られたもの。先ほども説明したように実際には砂糖の数百倍の甘味があるため、製品に使われるのはごくごく微量となります。その量で人体に悪影響が起こることは考えにくい。何よりそれほど危険なものなら、そもそも食品として認可されません」
ただ、長期的に摂取し続けた場合の影響ということについては不明とのこと。
「人工甘味料が開発されたのは1990年代後半。昔から食されてきた砂糖やはちみつと比べると歴史が浅く、長年食べ続けた人の子々孫々がどうなるかまではわかっていません。その結果が真の意味で判明するのは先の時代となります」