砂糖を代替甘味料に置き換えではやせない

 現時点では安全性に問題がないとされているため、これらの甘味料を推奨する医師もいる。

「甘いものがやめられない糖尿病の患者さんに少量使ってもらうのにいいと、代替甘味料をすすめる医師は珍しくありません。今回のWHOのガイドラインも糖尿病の人を勧告の対象から除外しています」

 ではダイエットに関しては、結局、役立つのか役立たないのかどっち?

「砂糖を代替甘味料に置き換えただけでやせることは、まずないと思います。例えば、コーヒーに入れるスティックシュガー1本のエネルギー量は20~30kcal程度。大したエネルギー量ではないので、それを代替甘味料にしたところで何の影響もありません」

 砂糖を置き換えたからと安心して、大量に摂取したりほかのものを食べたりすれば、逆効果になることもありうる。

「糖質オフビールを飲みながら揚げ物などのおつまみを食べれば、かえって太ることもありますよね。要はカロリーゼロの商品を利用したところで、今までどおりの食事を続けていたらやせるのは無理ということ。WHOの勧告も『やせるためにこれらの甘味料を使ってもあまり意味がない』程度のニュアンスで受け止めておけばいいと思います」

 その上で、ダイエットへの意識を高めるきっかけとして、これらの代替甘味料を利用するのはアリ。

「『カロリーゼロ』のうたい文句が頻繁に目に入れば、暴飲暴食を控えたり、短時間でも運動したり、生活全般に気を使うようになるかもしれません。それが継続できれば、ダイエット効果が得られるのではないでしょうか」

 ただしとりすぎには注意。

「どんな食品も大量にとりすぎると害になることがありますが、人工甘味料もそれは同じ。カロリーオフ飲料を1日1本飲む程度なら大丈夫ですが、それを何本も飲むのはおすすめできません。代替甘味料のスティックシュガーも1日1~2本程度にとどめておくといいでしょう」

 ちなみに平井さんの代替甘味料の使用法は?

「1日1杯程度ですがコーヒーに入れたり、時には照りを出すために料理に使ったりしています」

 過度なダイエット効果は期待せず、どうしても甘いものを食べたいときなどにうまく活用するのが正解かも!?

ひらい・ちさと 小田原短期大学食物栄養学科准教授。女子栄養大学栄養科学研究所客員研究員。肥満と栄養摂取の関連について研究。前職は病院栄養科責任者(栄養相談も実施)。現在は教壇に立つ傍ら、実践に即した栄養情報を発信

<取材・文/中西美紀>