放送と配信、それぞれの強み
ドラマはもともと需要があり、適正な数になったと考察。
「'80年代から'90年代、ドラマの数はもっと多くありました。ところが、目先の視聴率にとらわれて減らされ、バラエティーを量産。フジテレビでも自社制作のドラマはプライム、ゴールデン帯で週に2本だけという時代が長く続きました。今の状況は増えすぎのようにも言われがちですが、あるべき数に戻ったのだと思います」
視聴率がすベてではなくなり、現場の制作サイドも活気づいている印象だという。
「特にフジテレビは昨年のトップ交代が影響してか、制作現場の風通しがよくなっています。『silent』『ミステリと言う勿れ』などのヒットドラマも出てきました。TBSも放送局というより、コンテンツメーカーであることを前面に押し出していて、クリエイターを尊重しています。若手の起用も増えていますし、各局に楽しそうな作り手が増えたように感じます」
ネット配信の普及でドラマを取り巻く環境が変化する一方で、木村さんは定時放送のよさも指摘する。
「配信で自分の好きな時間に見る人も増えましたが、地上波のリアルタイムで見る人はまだまだ多い。同じ時間に見てもらえることもテレビの強みです。例えば、『水曜日のダウンタウン』など、ツイッターではほぼ毎週トレンド入りしますし、リアルタイムで視聴することで番組内容についての反響がよりありありと感じられる。テレビ局は放送と配信の強みを両方活用できるようになってきたということでしょう」
楽しくなければテレビじゃない─'80年代に生まれたフジテレビのスローガンのように、配信とリアルタイムの特徴を踏まえ、これからもわれわれを楽しませてほしい。