突然アニサキスアレルギーを発症!

 57歳で食物アレルギーになったさとなお(佐藤尚之)さんの体験を紹介したい。2018年のある日、友人との会食後、夜中に急な吐き気に襲われた。生も食べたので食あたりかと思ったが、その正体は食物アレルギーだった。

「吐いたあとは顔がパンパンに腫れ、徐々に呼吸もできなくなって。今思えばアレルギーによるアナフィラキシーショックだったのですが、当時は何がなんだか……」(さとなおさん、以下同)

 救急搬送された時は、まさに瀕死(ひんし)の状態。

「治療で症状はおさまりましたが、そこから原因探しが始まりました。何を食べたかを聞かれ、アレルギーの血液検査をした結果、ほぼアニサキスアレルギーだろうと」

 アニサキスは、介類や海洋哺乳類の体内にいる寄生虫。人間が生きたまま食べると激痛が起こるアニサキス症は食中毒の一種でまったく別の病気。

 アニサキスアレルギーはアニサキスのタンパク質がアレルゲンで、体内に入ると症状が出る。を生食する国に多く、「判明していない患者も含めれば、国内に100万~150万人いるのでは」(鈴木先生)という。

「3か月後に詳しい検査で確定診断を受けました。僕は特に重度のアレルギーで、一度アナフィラキシーを起こしているため、次に起こすと命に関わると。だから一生は食べられない、と言われたのです。絶望という言葉でも足りない感覚でした」

 というのも、さとなおさんは食べることを生きがいとし、食にまつわる本を執筆するほどの食通。特にが好きで、すし教室にも通い「晩年は自分で釣ってさばき、すしを握って楽しむことを描いていた」という。

 しかも、アニサキスアレルギーで食べられないのは生だけではない。

「アニサキスの死骸やカケラにも反応するので、加熱してあるなしは関係ないんです。焼きも煮も、かまぼこのような練り物でも食べられませんし、だしであっても介でとっているのはそばもうどんもダメ、和食はほぼ全滅です(※)
※鈴木先生によれば、すべてのアニサキスアレルギー患者に当てはまるものではない

3年間の完全除去生活は、食べられるものがなく、食品成分表をにらむ毎日。焼きそばの「麺」ですら、魚介が入っていて食べられない
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【写真】大人がなりやすい食物アレルギーのアレルゲンの割合グラフ