クレジットカードや電子マネー業界に精通する、消費生活ジャーナリストの岩田昭男氏はこう語る。
PayPayの失墜を待ち望むライバルたち
「PayPayがわれわれの生活に浸透した理由としては、ユーザー目線では、“クレジットカードより手軽であったこと”が大きい。クレジットカードを日常的に使うことに抵抗がある現金派の層に刺さった。加盟店目線でいうと、サービス開始当初、商店街などでPayPayの営業マンが手数料ゼロを売り文句に、ドンドンと開拓していった。
個人経営の小売店などで、抵抗なく現金以外の決済方法を取り入れるきっかけとなったんです。つまり、“現金以上・クレジットカード未満”くらいのちょうどいいポジションで、世の中になじんできたんです」(岩田氏、以下同)
ただサービス開始当初から公表していた中小規模の加盟店に対する「決済手数料無料キャンペーン」も2021年9月末で終了、加盟店離れも心配されていた。
「今回の発表で、ユーザーはPayPayカードでしか決済できないとなると、便利だったPayPayがただの普通のクレジットカードになっちゃうようなもの。今の世の中で、わざわざ新しいクレジットカードを使おう、とはなりづらい。それだったらPayPayを使うのをやめるという個人が出てくるのは当然だし、PayPayも導入しないよって店も出てくる。
今回の“改悪”が延期となっても、いずれ使いづらくなるとわかっているなら、他のサービスに切り替えようと離れていく人が出てきてもおかしくないでしょう。ライバルの楽天ペイをはじめ、ドコモのdポイント、auのPontaポイント、それに来年にはVポイントが本格的にオープンします。有望な“ペイ”たちが、巨大な経済圏を作って、PayPayの失墜を待ち構えているんですから」
“社会のインフラ”を目指すなら、細々とした改悪はやめて、ユーザーファーストのサービスを目指してほしいものだ。