「煮あずき製法」で成分をまるごと摂取

 あずきのポリフェノールを逃さず摂取するためにはどんな食べ方がいいのだろうか。加藤教授が考案したのが、煮汁を一切捨てない“煮あずき製法”。

「あずきは重量の2倍まで水を吸います。一般的にあずきを煮る際には、重量の3~5倍の水を使いますが、私が考えた煮あずき製法では、重量の2倍の水しか使わないことで、煮汁を出さずにあずきのすべての成分を閉じ込めることができます。ポリフェノールの他にも、むくみ解消や高血圧予防に有効なカリウム、冷え予防に役立つビタミンB1なども保持されます」

 完成すると、300グラムのあずきから約660グラムの煮あずきができる。すぐに食べない場合は、一度に使う分ずつ小分けにして、フリーザーバッグなどに入れて冷凍保存するのがおすすめ。

「2、3日で食べ切れる場合は冷蔵で大丈夫ですが、4日以上後に使う分は冷凍庫へ。冷凍の場合も、1か月以内には使い切るようにしましょう」

 この冷凍煮あずきは、さまざまな料理に使用可能で、サラダやご飯にトッピングするだけでもOK。

「私がよく作っているのは、あずきご飯。ご飯を炊くときに、研いだお米にパラパラと冷凍煮あずきを入れて、通常どおりの水の量で炊くだけ。炊いていく過程であずきの成分が溶け出し、ほんのり赤みのついた豆ごはんになります。もちろん、餅米を使えば、お赤飯に。簡単で続けやすく、おすすめです」

少量ずつ続けてとるとしっかり吸収できる

 ポリフェノールなど水溶性の成分は、一度にたくさんとっても必要以上は体内に蓄積できず、尿とともに排出されてしまう。

「少量ずつこまめに摂取し、継続するのが食べ方のコツです。また、あずきには日本人が不足しがちな食物繊維も豊富に含まれています。その不足分を補える量として、1日30グラムを目安にとることが推奨されています」

 さらに、組み合わせ食材としておすすめなのがトマト。

「トマトとの相性は非常に良いです。栄養面でも、トマトにはあずきには含まれていないベータカロテンやリコピン、ビタミンCが豊富に含まれており、あずきに多いビタミンB群と合わさることで、補い合うことができます」

 また、近年、加藤教授の研究で、あずきのさらなるパワーが明らかになりつつある。

「免疫学の先生との共同研究として、一昨年から行っているラットを使った実験で、栄養成分をまるごと残したあずきを摂取することで、腸内環境を整え、免疫機能を高めることがわかりました」

 コロナ禍のピークを過ぎたとはいえ、小さな不調を重篤な病気に発展させないためにも、免疫力をサポートしてくれる食材が身近にあるのは、かなり心強い。さっそく毎日の食卓に加えて、生活習慣病やがん、夏老け防止に、あずきパワーを活用しよう。