建設や製造などの現場で事故が多発

 高齢者の死亡災害が多い業種ベスト3は建設業、製造業、運輸交通業。これらの業種はそもそも、年齢にかかわらず事故が多く危険が伴う業種。高齢者が働くとなれば安全への配慮がほしいが、現場ではそうはいかない。

高齢者だから配慮されるどころか、動けないほうが悪いという考え方。『おせーよ、じじい』、『ぐずぐずするな!』といった罵詈雑言を浴びせられることも多く、ハラスメントに近いことが行われています」

 高齢者の労災死亡事故で記憶に新しいのが、令和4年に起きた「三幸製菓」の工場火災だろう。

 従業員2人のほか、アルバイト清掃員の女性4人が亡くなったが、女性たちの年齢は、73歳、71歳、70歳、68歳といずれも高齢。深夜勤務時に工場で起きた火災に巻き込まれて命を落としたのだ。

 アルバイト従業員だった彼女たちは、避難訓練には参加していなかったようで、勤務時間も生産状況しだいで規則的ではなかった。高齢者が深夜に、しかも不規則な条件で働いていたという厳しい現実が浮き彫りになったわけだ。

 火災は不幸なことだったが、体力の衰えた高齢者が犠牲になった事実は消せない。

高齢者の労災死亡が多い業種トップ3

1位:建設

 いわゆる肉体労働で、重いものを運んだりする場合の身体的ダメージが大きいほか、重機による事故や高所の現場での転落、墜落も多い。

2位:製造

 工場での機械操作で、挟まれる、巻き込まれるなどの事故が起きやすく、大きなケガや死亡事故となりやすい。作業のスピードについていけないケースも。

3位:運輸交通

 人材不足による過酷、劣悪な労働環境が常態化している業界。睡眠不足による運転での事故、荷物の積み降ろしによる事故なども。