カニの日とされている6月22日、鳥取県が「蟹取県カニバーサリー宣言」を発表。
カニの水揚げ量日本一の同県は、2014年からカニがとれる冬季に県名を「蟹取県」に改名するなどの「蟹取県ウェルカニキャンペーン」を展開しているが、10年目の節目となる今年はアニバーサリーならぬ「カニバーサリー」としてPRを強化する。
他にも、2011年10月にPRとして“うどん県への改名”を発表した香川県、2018年1月15日に“いちご王国・栃木の日”宣言をした栃木県など、同様の取り組みは全国各地で実施されている。
躍起になる「食」のアピール
その地域ならではの「食」をアピールして、他府県との差別化を図るブランディングが増えているのはなぜ?
「旅行の大きな楽しみがご当地グルメであるように、その地域の特長として誰もがイメージしやすいのが食べ物。興味を持ってもらうきっかけとして食はうってつけ。昨今の流行というよりは王道のコンテンツでしょう」
と話すのは、クリエイティブディレクターの田中淳一さん。
「知名度アップや観光誘致、地域産業の活性化を目的にこれらの取り組みは行われますが、移住者を増やしたいというのが最終的な目標です」(田中さん、以下同)
最終ゴールが移住とは話が飛躍するように感じるが、地方では切実な課題。
「例えば、蟹取県を名乗る鳥取県は近年、過疎化が進行。人口が減少傾向にあります。しかし、鉄道など交通手段、商業施設、病院など生活に必要な設備を維持するには、ある程度の人口が必要。
大都市に人口が集中する日本では、地方はどこも同じ悩みを抱えていて、これを解決するためにさまざまな施策を実施しているのです」
食に関するキャンペーンは多くの人にまず興味を持ってもらうための入り口。
「人口減少を食い止めるには、まずはどんな形であれ、その地域と関わりを持つ人々を増やすことが重要といわれています。
食をきっかけに、その地域に親しみを感じたり、繰り返し観光で訪れたりする人が増えれば、やがてその中から移住を考える人も現れるかもしれません」