田代は復刻だけにとどまらず、新作グッズにも着手。今年6月には沖縄のお土産で知られる“海人(ウミンチュ)シャツ”をパロディーにした“罪人(ツミンチュ)シャツ”をリリースし、ネットニュースに取り上げられるなど話題を呼んだ。
罪を背負うという戒めも込めている
「周りからは“まじめにやっているんだからもう自虐はやめなよ”とも言われますが、このシャツには罪を背負うという戒めも込めているんです。クスリやっている人って、周りの人に気づかれないために話題を避けたりするんです。僕も隠れてクスリを使っていたとき、周囲に“僕は健康だよ”って執拗にアピールしていましたから」
自身の過去をネタに昇華して向き合い続ける田代。このような取り組みもあって、“クスリ”に関連した仕事も舞い込んだ。障がい者の就労支援施設などを運営している『株式会社HERO』が開発したポン酢『ヒロポン酢』のネットCMに出演したのだ。会社名を冠した商品名とはいえ、かつて日本国内で流通していた覚醒剤の名称を彷彿させるが─。
「オファーが来たときは“ふざけるな!”と思ったけどね(笑)。でも、商品サンプルと一緒に社長の手紙も添えられていて“障がい者施設で製作しています。これで田代さんも元気になってくれたらうれしいです”って書かれていて、施設の力になればと思って引き受けました。実際、おいしかったしね。ありがたいことに、このCMがSNSで話題になってくれて、ほかにもいくつか広告案件も来るようになりました」
充実した毎日を送る田代だが、多忙な日々のストレスから薬物に手を出してしまった自身の過去を忘れていない。
「いちばん忙しかった時期の平均月収は1000万円くらい。これでも当時の顧問税理士から“これ以上稼いでも逆に税金かかってマイナスですよ”と言われてセーブしていたんです。あのころはお笑いをやっていて、毎回ウケなくちゃいけないプレッシャーがすごかった。“僕は本当に面白いのか。いつまで続けなきゃいけないんだ”と、ブルーになっていましたから」
『ヒロポン酢』のCM契約料は、田代が通う薬物依存者の回復支援施設『ダルク』に全額寄付。収益より自分のペースを第一にするようになった田代は、仕事との向き合い方にも変化があったという。
「以前は早くテレビに戻ることが、ファンへの罪滅ぼしだと信じて頑張っていたけど、今は“支えてくれる仲間たちとごはんが食べられればいいや”と思えるようになってきました。僕はもう“プロ”ではなく素人。今の活動は昔取った“蟻塚”。じゃなかった、杵柄か(笑)」