目次
Page 1
ー 音楽が好きでバンドを始めたわけじゃない
Page 2
ー 音楽で活動し続けるのは厳しくなるだろう
Page 3
ー 子どもたちは「女の子みたいで可愛い」

 1997年にメジャーデビュー。“美女すぎる男性ボーカル”として話題になったSHAZNAのIZAM。バラエティー番組などで大人気となり、“男性”になってからは俳優としても活躍。現在は毎日ライブ配信をしているという彼に、妻・吉岡美穂との夫婦仲や、これまでの道のり、今後の夢を語ってもらった。

音楽が好きでバンドを始めたわけじゃない

知り合いに新宿2丁目へ連れていってもらったとき、行く先々で言われたんです。『IZAMさんがああいう格好で堂々と世に出てくれたおかげで、自分を肯定することができたし、カミングアウトもできた。楽しく幸せな生活を送れるようになった』って。僕は表現方法としてやっていただけなんですが、そういう人たちが生きやすくなるものを作れていたのかなという気はします」(IZAM、以下同)

 アーティストのIZAM(51)が今年でソロデビュー25周年を迎え、7月23日に記念アルバム『シ・ン・デ・レ・ル・ラ POP』をリリースした。振り返ると、彼が率いるバンドSHAZNAがメジャーデビュー曲『Melty Love』で世に衝撃を与えたのは1997年である。あれから、それなりの時がたった。

 そんな彼の過去、現在、そして未来についてを、この機会に聞いた。

 見目麗しい中性的なルックスが印象的だったIZAMだが、現在の彼は必ずしもフェミニンにはならない。ソロ活動では男性としてナチュラルにパフォーマンスしているし、かといってSHAZNAとして活動する際に女性的なスタイルをやめたわけではないという。

 ただ、決してあのころを否定しているわけではない。SHAZNAのデビュー時と比べ、ファッションに関してもセクシュアリティに関しても、社会は著しく前進した。そこには、SHAZNAの活躍も寄与しているはずだ。

学校保健の指導要領の『マイノリティ』に関しての章で、『SHAZNAの女装ボーカリストIZAMが大ブレーク』と記されているんです。これって、僕が当時やっていたことが社会の認識を変えたということだと思うんですね

 実は、SHAZNAの戦略は最初から緻密だった。

音楽が好きでバンドを始めたわけじゃないんです。僕はジャッキー・チェンが好きで、もともと役者になりたかった。でも、なり方がわからない。『ボーカルをやって売れたら役者になれるかも』と思ったのをきっかけに、バンドを始めたんです。

 で、売れるためにはどうすればいいか。当時、放送していた『三宅裕司のいかすバンド天国』(TBS系)を見て『女の子みたいなルックスでそのまま通したら目立つんじゃないか』と思いつきました。

 X JAPANのYOSHIKIさんとか、女性的なヘアメイクをしているヴィジュアル系の先輩方はいましたが、ライブは完全に男性そのもののパフォーマンスだった。子どものころテレビで見て衝撃を受けた英国のバンド『カルチャー・クラブ』のボーイ・ジョージの影響もありました」