行為のたびに同意書? 不安の声も
新たに加わった項目も。
「口や肛門も被害対象になり、男性から男性へのレイプも立件しやすくなりました」
被害者に寄り添った法案に思えるが、一方で刑法の落とし穴もあるという。
「改正によって、行為のたびに同意書にサインが必要だ、美人局が増えるのでは、などの不安の声もあります」
と正木弁護士。続けて、
「同意書がマストだ、なんてことにはなりませんが、制度を悪用して、信頼していたパートナーでも関係が悪化して、後日同意がなかったと言われてしまう可能性も否定できません。信頼できない相手とはしない、信頼できる相手でも丁寧なコミュニケーションを大切にして、相手の意思確認は行為の途中でも段階的に行う。YES以外はすべてNOと考え同意の確信がないときはしないなど、自らの考え方や行動を変えることと、万一のためにLINEなど相手とのやりとりを証拠として残しておくといった自己防衛が大切です」
さらに問題点を指摘する。
「今回の改正で、例えば、妊娠や性感染症の危険があるステルシング(相手の同意なく、性行為中に避妊具をひそかに外したり損傷させること)は、直接規制対象になっていないんです。法律としては何が犯罪なのか明確に定めることは重要ですが、レイプだと感じる行為が網羅されているわけではないので、今後の運用や判例の蓄積、法改正に向けた議論にも注目が必要です」
すでに逮捕者も出ているこの刑法。性犯罪者の逃げ得を許さない点は評価したい。