大谷の爪は「割れやすい」

 負傷で途中交代しても、翌日の試合には出場していた大谷だったが、健康状態を心配するファンは少なくなかった。今回の故障前、最後の登板となった試合には“健康第一”と書かれた横断幕を掲げた観客もいたほど。

'18年に受けた右肘の手術痕をチームメートに見せる大谷翔平。再びこの痛々しい傷を負う手術に臨むのだろうか 写真/共同通信社
'18年に受けた右肘の手術痕をチームメートに見せる大谷翔平。再びこの痛々しい傷を負う手術に臨むのだろうか 写真/共同通信社
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 今シーズン最初に大谷が負傷したのは、日本時間5月10日。投手として出場し、右手中指の爪が割れるというケガを負ったが、この影響が長引いた可能性はあるのか。アスリートネイルの専門家である辛川知美さんに話を聞いた。

「投手にとって、指先に力を加えるうえで爪が重要な役割を果たします。指先には骨がなく、指の腹から加わった力が爪に届き、爪がその力を受けてはね返すという仕組みになっています。爪に加わる力を爪圧といい、指先にかかる爪圧が強いほど、速いボールが投げられるのです」

 大谷は6月の試合でも爪が割れた影響で降板するシーンがあった。爪が割れてしまうのは、どうしてか。

「爪の水分含量が不足し乾燥すると、爪圧がかかったときに割れやすくなってしまいます。投手は指先に強い力を加えることで、より力強い球を投げようとするので、野手よりも割れやすいんですよね。ピッチャーが使う、滑り止め剤の粉末を布袋に詰めたロジンバッグも爪を乾燥させる原因であると考えています」(辛川さん、以下同)

 日本ハム時代から悩まされていたように、大谷の爪はもともと割れやすいとか。

「大谷選手の爪は、根本から先端に向かって広がる扇のような形をしていますよね。この形状は、爪先に負荷がかかってしまうので非常に割れやすいのです。爪が割れると指先に力を加えられなくなり、その結果マメができたり投球フォームが崩れたりと悪循環に陥って、肘の故障につながるケースもあります