ラジオ体操や減薬……腸が喜ぶ健康アクションを
「日本人の多くは、栄養の知識が偏っています」
と、長年、腸内細菌の研究を続けている内藤裕二先生は、日本人の食物繊維不足に警鐘を鳴らす。
「日本の食物繊維の基準量は1日20g。ですが海外では、食物繊維ががんや動脈硬化の予防にいいという認識が広まっており、食物繊維の世界基準は24g。
アメリカや東アジアの国々も、食べ物だけでこの基準を達成している中、日本だけが遅れをとっています。また、“これさえ食べていればいい”というものはないので、バランスよく食べることが重要」
糖質オフ流行(はや)りの昨今だが、炭水化物にも食物繊維が含まれるので減らしすぎはNG。
内藤先生いわく、60~70代を健康に過ごせるかどうかは、40~50代のときのライフスタイルが鍵を握る。日々の積み重ねが大切だ。
腸活16:白米は週に1回まで
内藤先生の自宅の食卓では、白米は週に1回までがルール。
「わが家では玄米や麦など、いわゆる“茶色い炭水化物”が主食です。昔ながらの食べ物は腸にも良い成分が多い。パンも同様で、白いパンはまったく食べません。全粒粉のパンなどを選ぶようにしています」
腸活17:薬は飲みすぎない
「日本人の腸内細菌のビッグデータを解析していると、腸内環境を悪化させている原因の中で“薬”の影響は大きいです。数年前から飲み続けている薬がある人は、今の症状でも必要かどうか、かかりつけ医と相談してみてください。
また、なぜその症状が出ているのか、生活を振り返ることも大切。ライフスタイルの改善で薬が不要になるケースもあります」
もちろん、独断で処方薬の服用をやめるのはNG。必ず医師と相談のうえで判断して。
腸活18:寝る前3時間は飲食しない
「腸を休ませて正常に働かせるため、睡眠は大事にしている」という内藤先生。食事の内容や飲酒の有無は睡眠の質を左右するが、加えて重視すべきなのが“タイミング”だ。
「胃に食べ物が入った状態で寝ようとしてもお腹が休まりませんし、寝る直前にアルコールを摂取しては疲労の回復もうまく行えません。良質な睡眠をとりたいなら、就寝の3時間前から食べたり飲んだりは控えましょう」
腸活19:10分のラジオ体操でほどよく運動を
腸活のためには運動も大切だが、三日坊主にならないためには「頑張りすぎずテキトーに」が先生のモットー。
「毎朝10分間、ラジオ体操を日課にしています。全身の筋肉・関節をまんべんなく使うので毎日の運動に最適」
ラジオ体操は内臓の働きを活性化する効果もあるといわれている。一方で、夜間にジムやランニングに励む人も少なくないが、激しい運動は睡眠を妨げる可能性があるので、生活リズム的にはあまりおすすめできない。
運動は、朝、太陽の光を浴びながら行うのが最適だという。
腸活20:毎朝のバナナスムージー
内藤先生が腸にいい栄養をカバーするために、10年以上毎朝欠かさず飲んでいるのが豆乳バナナスムージーだ。氷は入れず、身体を冷やしすぎないように気をつけている。
材料
・豆乳……200ml
・バナナ……1/2本
・食物繊維サプリ(水溶性食物繊維の粉末)※食物繊維の量が5g分
・青汁粉末……大さじ1
・はちみつ……適量(お好みで)
・えごま油……小さじ1
・きな粉……小さじ1
【作り方】
材料をすべて入れ、ミキサーで攪拌する。
※はちみつは1歳未満の乳児には与えないでください
取材・文/山中千絵(清談社)